Entire Agreement

### 概要 完全合意条項（Entire Agreement Clause または Integration Clause）とは、契約書の中に設けられる一般的な条項の一つです。この条項は、**現在締結する契約書が、その主題に関する当事者間の全ての合意事項を完全かつ最終的に網羅したものであり、契約締結以前のあらゆる口頭約束、交渉、理解、表明、他の文書は、この契約書の内容に取って代わられ効力を持たない**ことを確認・宣言します。「完全合意」や「統合条項」とも呼ばれます。 ### 目的 - **契約内容の明確化・限定:** 契約範囲を契約書記載事項のみに限定し、書面外の事柄が後から持ち出されることを防ぎます。 - **過去の交渉経緯の排除:** 契約締結までの交渉過程や古い合意事項が、最終契約の効力に影響しないことを明確にします。 - **紛争の予防:** 将来の解釈に関する紛争時に、参照すべき合意内容を契約書本文に限定します。 ### 条項の例 「本契約は、本契約の主題に関する当事者間の完全かつ唯一の合意を構成し、本契約締結以前の全ての口頭または書面による表明、交渉、約束、了解、および合意に取って代わるものとする。」といった文言で規定されます。 ### 注意点 - 詐欺的な不実表示など、特定の状況下では契約前の表明が考慮される可能性は残ります。 - 契約締結「後」の変更・追加合意には別途アメンドメント等が必要です。 完全合意条項は、契約書の証拠価値を高め、契約解釈の安定性を確保するための条項です。