RSI

概要

RSI（Relative Strength Index、相対力指数）は、J.ウェルズ- ワイルダーによって1978年に開発されたモメンタム系オシレーターです。一定期間の価格上昇幅と下落幅を比較し、0から100の範囲で相場の強弱を数値化します。商品先物市場では、短期的な売買タイミングの判断や、相場の過熱感を測る指標として広く活用されています。

RSIは、価格変動の速度と変化を測定することで、トレンドの強さや持続可能性を評価します。商品市場特有の激しい価格変動においても、相対的な強弱を客観的に判断できるため、リスク管理の観点からも重要な指標となっています。

開発から40年以上経過した現在でも、その有効性は広く認められており、多くのトレーディングシステムやアルゴリズム取引にも組み込まれています。特に商品先物では、需給要因による急激な価格変動が起こりやすいため、RSIによる過熱感の把握が重要視されています。

主な特徴

買われ過ぎ- 売られ過ぎの判定では、一般的にRSI70以上を買われ過ぎ、30以下を売られ過ぎと判断します。これらの水準は調整や反転の可能性を示唆します。

**ダイバージェンス（逆行現象）**は、価格が新高値- 新安値を更新してもRSIが更新しない現象で、トレンド転換の強力なシグナルとなります。

**センターライン（50）**を基準とした判断では、50以上を強気相場、50以下を弱気相場と解釈します。トレンドの方向性確認に活用されます。

期間設定は通常14期間が標準ですが、9期間や25期間なども使用されます。短期間ほど敏感に、長期間ほど安定的に推移します。

フェイラースイングは、RSIが買われ過ぎ- 売られ過ぎゾーンから脱出後、再度そのゾーンに入らずに反転する現象で、トレンド継続のシグナルとなります。

実務での活用

逆張りエントリーでは、RSI30以下での買いエントリー、70以上での売りエントリーを基本戦略とします。ただし、強いトレンド時は注意が必要です。

トレンド判断の補助指標として、他の指標と組み合わせて使用します。移動平均線やMACDとの併用により、より確実な判断が可能となります。

ダイバージェンスによる転換察知では、価格とRSIの逆行現象を早期警戒シグナルとして活用し、ポジション調整のタイミングを計ります。

レンジ相場での活用において、明確なトレンドがない相場では、RSIの買われ過ぎ- 売られ過ぎシグナルが特に有効に機能します。

メリット- 効果

計算が比較的簡単で、理解しやすい指標です。多くのチャートソフトに標準搭載されており、すぐに利用できます。

0から100という明確な範囲があるため、相場状況を直感的に把握できます。数値による客観的な判断が可能です。

あらゆる時間軸で機能し、スキャルピングから長期投資まで幅広く活用できます。商品や市場を問わず適用可能です。

他の指標との相性が良く、組み合わせることで分析精度が向上します。特に移動平均線との併用が効果的です。

注意点- リスク

強いトレンド相場では、RSIが極端な水準に張り付いたまま推移することがあります。買われ過ぎ- 売られ過ぎだけでの判断は危険です。

期間設定により感度が変わるため、商品の特性や取引スタイルに応じた調整が必要です。過度な最適化は避けるべきです。

ダイバージェンスが必ずしも転換につながるわけではありません。複数回のダイバージェンスが発生することもあります。

単独での使用は推奨されません。必ず他の指標やファンダメンタルズ分析と組み合わせて総合的に判断すべきです。

関連用語との違い

ストキャスティクスは、一定期間の最高値- 最安値に対する現在価格の位置を示し、RSIは上昇幅と下落幅の比率を示します。

MACDは、移動平均線の差を利用したトレンドフォロー指標で、RSIは相場の過熱感を示すオシレーターです。

ウィリアムズ%Rは、ストキャスティクスに似た計算式ですが、RSIは独自の平滑化計算を使用します。

実務ポイント- 事例

原油市場では、地政学的リスクによる急騰時にRSIが80を超えることがあり、その後の調整局面を示唆する重要なシグナルとなります。

金市場では、RSIのダイバージェンスが長期的なトレンド転換の前兆として機能することが多く、ポジション調整の判断材料として重視されています。

農産物市場では、天候相場時にRSIが極端な水準に達しやすく、30/70の基準を20/80に調整して使用することがあります。

商品先物取引におけるRSIの活用は、相場の過熱感を客観的に判断し、適切な売買タイミングを見極めるための重要なツールとなっています。