Sale and Leaseback

### 概要 セールアンドリースバック（Sale and Leaseback）とは、企業などが、自社で所有し利用している固定資産（主に土地、建物、工場、店舗、大型設備、航空機、車両など）を、リース会社や投資家（不動産投資法人 REIT など）に一旦売却し、同時にその買い手から同じ資産をリース契約（賃貸借契約）によって借り受け、引き続き利用し続けるという一連の取引（財務手法）のことです。 ### 目的とメリット（資産売却側） - **資金調達:** 資産を売却することで、まとまった現金（売却代金）を調達できます。調達した資金は、有利子負債の返済、新規事業への投資、運転資金などに充当できます。 - **オフバランス化（会計基準による）:** リース契約の種類（オペレーティング・リースかファイナンス・リースか）や会計基準によっては、売却した資産を貸借対照表から切り離す（オフバランス化する）ことができ、総資産利益率（ROA）などの財務指標が改善する可能性があります（ただし近年の会計基準変更でオフバランス効果は限定的になっています）。 - **資産管理負担の軽減:** 固定資産税の支払い、減価償却、維持管理などの負担が軽減される場合があります。 - **柔軟な資産戦略:** 将来的にその資産が不要になった場合に、リース契約を終了させることで対応しやすくなる可能性があります。 ### デメリット（資産売却側） - **所有権の喪失:** 資産の所有権を失います。 - **リース料の支払い:** 継続的にリース料を支払う必要があります。 - **売却損の発生:** 売却価格が帳簿価額を下回る場合、売却損が発生します。 ### 利用場面 - 財務体質の改善（有利子負債削減など）。 - 新規投資資金の捻出。 - 特定の資産を保有し続ける必要性が低い場合。 セールアンドリースバックは、企業が資産の流動性を高め、財務戦略の選択肢を広げるための一つの手法です。契約条件（売却価格、リース料、リース期間、買戻しオプションの有無など）を慎重に検討する必要があります。