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生物由来の有機資源を燃料とする再生可能エネルギー。木質バイオマス、農業残渣、廃棄物などを燃焼・ガス化・発酵により電力や熱に変換します。カーボンニュートラルで地域資源を活用でき、日本では年間2,000万トンの未利用バイオマスがエネルギー化可能です。
基本概念
バイオマスエネルギーは、植物や動物由来の生物資源(バイオマス)を燃料として利用する再生可能エネルギーです。光合成により大気中のCO2を吸収した植物を燃料とするため、燃焼時のCO2排出と相殺されるカーボンニュートラルな特性を持ちます。木質系(間伐材、製材廃材)、農業系(稲わら、もみ殻)、畜産系(家畜排泄物)、廃棄物系(生ごみ、下水汚泥)など多様な原料があり、直接燃焼、ガス化、メタン発酵、液体燃料化により電力- 熱- 燃料を生産します。地域の未利用資源を活用し、循環型社会の形成に貢献します。
技術と変換方法
直接燃焼発電は最も単純で、蒸気タービンにより発電効率20-30%を実現します。ガス化発電は原料を熱分解してガス化し、ガスエンジンで発電効率30-40%を達成します。メタン発酵は有機廃棄物を嫌気性発酵させバイオガスを生成し、熱電併給で総合効率80%が可能です。木質ペレット- チップは取扱いが容易で、石炭火力での混焼も進んでいます。最新技術では、バイオマス由来の水素製造、バイオジェット燃料の開発も進展しています。
導入状況
世界のバイオマス発電容量は150GW(2023年)で、中国(25GW)、米国(16GW)、ブラジル(15GW)、インド(11GW)、ドイツ(10GW)が主要国です。日本は約5GW(2022年)で、FIT導入後急拡大し、再エネの中で太陽光、水力に次ぐ第3位の電源です。国内では約450箇所のバイオマス発電所が稼働し、年間発電量は約440億kWhに達します。PKS(パーム椰子殻)、木質ペレットの輸入も年間500万トンに拡大しています。
資源量と供給
日本の未利用バイオマス資源量は年間約2,000万トン(原油換算1,400万kL)と推計されます。林地残材800万トン、農業残渣400万トン、建設廃材500万トン、食品廃棄物300万トンが主要資源です。国産材の安定供給体制構築が課題で、林業との連携強化が進んでいます。輸入バイオマスは持続可能性認証(FSC、PEFC)により管理され、FIT制度でも第三者認証が必要です。地域の資源循環により、エネルギーの地産地消を実現します。
支援制度と経済性
FIT/FIP制度では、規模- 燃料により13-32円/kWhの買取価格が設定されています。メタン発酵は39円/kWh と最も高く、未利用材は32円/kWh、一般木材は24円/kWhです。農林水産省は地域内エコシステム構築を支援し、小規模分散型の熱電併給を推進しています。発電コストは15-30円/kWhと他の再エネより高いが、地域経済効果(雇用創出、林業振興)を含めた総合評価が重要です。
将来展望
2030年に国内バイオマス発電8GW(電源構成の5%)の目標が設定されています。第二世代技術(セルロース系エタノール、BTL)の商業化により、食料と競合しない燃料生産が拡大します。BECCS(バイオマス+CCS)によりネガティブエミッションを実現し、2050年カーボンニュートラルに貢献します。地域の熱需要と組み合わせた小規模分散型システムにより、エネルギー自給率向上と災害時のレジリエンス強化を図ります。
水力発電
水力発電は、水の位置エネルギーや運動エネルギーを電力に変換する再生可能エネルギーです。安定的な出力と調整力を持ち、電力市場において重要なベースロード電源および調整電源として機能しています。
クリーンエネルギー
クリーンエネルギーは、環境への影響が少ない再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの総称です。太陽光、風力、水力などが含まれ、カーボンニュートラル実現の中核として商品市場でも重要性が増しています。
バイオディーゼル
バイオディーゼルは植物油や廃食油から製造される再生可能な軽油代替燃料です。FAME(脂肪酸メチルエステル)とHVO(水素化植物油)があり、軽油に5-20%混合して使用されます。世界で年間約500億リットルが生産され、輸送部門の脱炭素化に貢献する重要な代替燃料です。
太陽光発電
太陽光発電は太陽電池により光を直接電気に変換する再生可能エネルギー技術です。光電効果を利用し、発電時にCO2を排出しないクリーンな電源です。設置コストが10年で90%低下し、世界で最も急速に普及する電源となり、2023年の世界導入量は1.4TWを超えました。
再生可能エネルギー
自然界に存在し、繰り返し利用できるエネルギー源の総称です。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが含まれ、化石燃料と異なり枯渇しません。世界のエネルギー転換の中核として、発電容量の急速な拡大と価格低下が進んでいます。