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コモディティ取引用語辞典トレタム

コモディティ取引に関する専門用語を学べる総合用語集

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    Bracket Order

    ブラケット注文

    注文タイプ

    ブラケット注文(Bracket Order)は、新規注文と同時に利益確定(リミット)と損切り(ストップ)の決済注文を自動設定する複合注文方式です。エントリーと同時にリスク・リワード比率を固定し、感情に左右されない規律ある取引を実現します。商品取引では、ボラティリティの高い市場で特に有効な自動リスク管理ツールとして活用されています。

    基本概念

    ブラケット注文(Bracket Order)は、一つの新規注文に対して、利益確定と損失限定の両方の決済注文を同時に設定する高度な注文方式です。「ブラケット」は「括弧」を意味し、エントリーポイントを中心に、上下両方向に決済ポイントを配置する様子が括弧のように見えることから名付けられました。この注文方式により、ポジション構築と同時に完全な出口戦略が確立され、リスク管理の自動化が実現されます。

    ブラケット注文は、1990年代後期の電子取引プラットフォームの発展とともに普及し始めました。個人投資家向けのオンライン取引が拡大する中で、プロのトレーダーが使用していたリスク管理手法を、一般投資家でも簡単に実行できるようにするために開発されました。現在では、多くの取引プラットフォームで標準機能として提供されており、商品先物、FX、株式など、様々な市場で活用されています。

    ブラケット注文の仕組み

    ブラケット注文は、3つの注文を連動させた複合的な仕組みです。

    基本構造は以下のとおりです。まず、新規注文(親注文)を発注します。これは成行注文または指値注文として設定できます。新規注文が約定すると、自動的に2つの決済注文(子注文)が有効化されます。一つは利益確定のためのリミット注文、もう一つは損失限定のためのストップ注文です。これらはOCO(One Cancels the Other)条件で連結され、どちらか一方が約定すると、もう一方は自動的にキャンセルされます。

    価格設定の方法には柔軟性があります。絶対価格指定では、具体的な価格水準を指定します(例:買い100円、利確110円、損切り95円)。相対価格指定では、エントリー価格からの値幅や率で指定します(例:エントリー価格から+10円で利確、-5円で損切り)。この設定により、リスク- リワード比率を事前に固定できます。

    執行フローは完全に自動化されています。新規注文の約定後、即座に決済注文が発動し、市場監視なしでポジション管理が継続されます。価格が利益確定水準に達すれば利益を確定し、損切り水準に達すれば損失を限定します。トレーダーは、エントリー時点で最大損失と目標利益を確定できるため、感情的な判断を排除できます。

    商品市場での活用方法

    商品取引におけるブラケット注文の活用は、市場のボラティリティ特性に適合しています。

    日中取引での活用が典型的です。原油や金などの主要商品は、日中の価格変動が大きく、素早い判断が求められます。ブラケット注文により、エントリーと同時に利確- 損切りラインを設定することで、常時監視なしでも適切なリスク管理が可能となります。特に、経済指標発表時などのイベントドリブンな取引で有効です。

    スイング取引での応用も一般的です。数日から数週間のポジション保有では、予期せぬ価格変動のリスクが高まります。ブラケット注文により、夜間や週末の市場クローズ中も含めて、24時間体制でポジション管理が行われます。農産物の天候相場や、エネルギー商品の地政学リスクなど、突発的な価格変動への対応が自動化されます。

    トレンドフォロー戦略での利用では、ブレイクアウト時のエントリーと組み合わせます。重要な価格レベルを突破した際に新規ポジションを構築し、同時に利益確定と損切りを設定します。これにより、偽のブレイクアウトによる損失を限定しながら、真のトレンド発生時には利益を最大化できます。

    リスク管理上のメリット

    ブラケット注文は、体系的なリスク管理を実現します。

    リスク- リワード比率の固定が最大のメリットです。エントリー時点で潜在的な利益と損失の比率が確定するため、期待値に基づいた合理的な取引が可能となります。例えば、常に2:1のリスク- リワード比率を維持することで、勝率が33%を超えれば長期的に利益が期待できます。この数学的アプローチにより、感情に左右されない取引が実現されます。

    規律ある取引の実現も重要な効果です。利益が出ている時の「もっと儲けたい」という欲望や、損失が出ている時の「戻るまで待ちたい」という願望を排除できます。事前に設定した計画どおりに取引が執行されるため、行動ファイナンスで指摘される様々な心理的バイアスを回避できます。

    ポートフォリオ全体のリスク管理にも貢献します。各ポジションの最大損失が事前に確定しているため、ポートフォリオ全体のリスクエクスポージャーを正確に把握できます。複数のブラケット注文を組み合わせることで、分散投資とリスク管理を同時に実現できます。

    注意点と制約

    ブラケット注文には、考慮すべき制約と注意点があります。

    市場のギャップリスクは重要な考慮事項です。商品市場では、週末や祝日明けに価格がギャップして開くことがあります。この場合、ストップ注文が想定価格で約定せず、予想以上の損失が発生する可能性があります。特に、地政学的イベントや天候災害などが週末に発生した場合、月曜日の寄付きで大きなギャップが生じることがあります。

    柔軟性の欠如も課題となる場合があります。一度設定したブラケット注文は、市場環境の変化に自動的に対応しません。例えば、重要なニュースが発表されても、設定済みの利確- 損切りレベルは変更されません。市場のボラティリティが急変した場合、当初の設定が不適切となる可能性があります。

    部分約定の問題も考慮が必要です。新規注文が部分的にしか約定しなかった場合、決済注文の数量調整が必要となります。システムによっては、この調整が自動的に行われない場合があり、手動での管理が必要となることがあります。

    実装と設定のポイント

    ブラケット注文を効果的に活用するための実務的なポイントです。

    適切な値幅の設定が成功の鍵となります。ATR(Average True Range)などのボラティリティ指標を参考に、その商品の通常の価格変動幅を把握します。利確幅は1.5~2倍のATR、損切り幅は0.5~1倍のATRを目安とすることが一般的です。ただし、市場環境や取引戦略により調整が必要です。

    時間軸との整合性も重要です。短期取引では狭い値幅、長期取引では広い値幅を設定します。また、取引時間帯によっても調整が必要で、流動性の低い時間帯では、より広い値幅を設定することが推奨されます。

    システムの選択と設定にも注意が必要です。取引プラットフォームによって、ブラケット注文の機能や制約が異なります。トレーリング機能の有無、修正- 取消の柔軟性、部分約定時の処理方法などを事前に確認します。また、システム障害時のバックアップ計画も準備しておく必要があります。

    高度な活用テクニック

    ブラケット注文をより効果的に活用するための応用技術です。

    動的調整戦略により、市場環境に応じた最適化が可能です。ボラティリティの変化に応じて、定期的にブラケット注文の値幅を見直します。また、重要なサポート- レジスタンスレベルを考慮して、利確- 損切りポイントを微調整します。ただし、過度な調整は当初の戦略から逸脱するリスクもあるため、明確なルールに基づいて実施します。

    複数ブラケットの組み合わせにより、より柔軟な戦略が実現できます。同じ商品に対して、異なる時間軸や価格レベルで複数のブラケット注文を設定し、段階的なエントリーと決済を行います。これにより、リスクを分散しながら、様々な市場シナリオに対応できます。

    他の注文タイプとの併用も効果的です。例えば、ブラケット注文で基本ポジションを管理しながら、追加のトレーリングストップで利益を伸ばす戦略や、ブラケット注文をアイスバーグ注文と組み合わせて、大口取引の執行と管理を同時に行う方法などがあります。

    同義語・略語

    ["括弧注文"]

    関連用語
    Good 'Til Cancelled (GTC)

    取消まで有効注文

    GTC注文(Good 'Til Cancelled)は、約定または手動取消まで継続的に有効となる長期注文条件です。日をまたいでも自動的にキャンセルされず、最長で取引所が定める期限まで市場に残ります。商品取引では、中長期的な価格目標を持つ投資家や、特定の価格水準での執行を忍耐強く待つ戦略において、継続的な注文管理の手間を省く便利なツールとして活用されています。

    Hidden Order

    隠し注文

    隠し注文(Hidden Order)は、注文の全量または一部を市場の板情報に表示させない特殊な注文方式です。大口投資家が市場インパクトを最小化し、取引戦略を秘匿するために活用します。商品市場では、大量の現物調達や大規模なヘッジ取引において、価格への影響を抑えながら執行を完了させる重要な手法として利用されています。

    Best Execution Policy

    最良執行方針

    最良執行方針は、金融機関が顧客の注文を執行する際に、最良の条件で取引を実行することを保証する内部規程です。価格、コスト、速度、確実性などを総合的に考慮し、顧客の利益を最優先とした取引執行を実現します。商品取引では、取引の透明性と公正性を確保するための重要な制度です。

    One Cancels the Other (OCO)

    一方取消注文

    OCO注文(One Cancels the Other)は、二つの注文を同時に発注し、一方が約定するともう一方が自動的にキャンセルされる連動注文です。利益確定と損切りの両方に備えたり、異なる戦略を同時に仕掛ける際に活用されます。商品取引では、相場の方向性が不透明な場面で、上下両方のシナリオに対応できる柔軟なポジション管理ツールとして重要な役割を果たしています。

    Pegged Order

    ペグ注文

    ペッグ注文(Pegged Order)は、市場の最良気配やその他の基準価格に自動的に追従する動的な注文方式です。価格が変動しても、常に指定した相対位置を維持するよう自動調整されます。商品取引では、市場の流動性を確保しながら有利な価格での約定を狙う際に活用され、特にマーケットメイクや大口執行で重要な役割を果たします。

    All or None

    オール・オア・ナッシング

    オール・オア・ナッシング注文は、指定した数量の全部が約定するか、全く約定しないかのいずれかになる注文方式です。部分約定を避けることで、取引の完全性を保ち、意図しないポジションの形成を防ぎます。商品取引では、大量注文の実行や戦略的なポジション構築において重要な注文手法です。

    Stop Order

    逆指値注文

    ストップ注文(Stop Order)は、市場価格が指定したトリガー価格に到達した時点で発動する条件付き注文です。損失限定(ストップロス)として下値リスクを管理したり、ブレイクアウト時の追随買いに活用されます。商品取引では、価格変動の激しい市場において、24時間体制のリスク管理と機動的な取引戦略を実現する基本的なツールとして広く利用されています。