Carry Trade

### 概要 キャリートレード（Carry Trade）とは、金利水準が低い通貨（例: 日本円、スイスフラン）で資金を調達し、その資金を金利水準が相対的に高い通貨（例: 豪ドル、メキシコペソなど）や、より高いリターンが期待できる他の資産（株式、債券、コモディティ、不動産など）に投資することで、その金利差（Interest Rate Differential）や配当利回り（これらを「キャリー」と呼びます）および資産価格の上昇から利益を得ようとする投資・取引手法です。 ### 仕組み（通貨の場合） 最も典型的なのは通貨キャリートレードです。 1. 低金利通貨（例: 円）を借り入れ（または売り）ます。 2. 調達した資金を高金利通貨（例: 豪ドル）に交換して、その通貨建ての預金や債券などで運用します。 3. 金利差（豪ドル金利 - 円金利）に相当する収益（キャリーゲイン、スワップポイントなど）が期待できます。 4. さらに、もし高金利通貨の為替レートが上昇（例: 豪ドル高・円安）すれば、為替差益も得られます。 ### リスク キャリートレードは、以下のようなリスクを伴います。 - **為替変動リスク:** 最大のリスクです。予想に反して高金利通貨が下落（例: 豪ドル安・円高）した場合、金利差による利益を上回る為替差損が発生する可能性があります。 - **金利変動リスク:** 予期せぬ利上げや利下げによって、期待していた金利差が縮小または逆転する可能性があります。 - **アンワインド（巻き戻し）リスク:** 市場のリスク回避姿勢が強まると（リスクオフ）、キャリートレードのポジションが一斉に解消（低金利通貨の買い戻し、高金利通貨の売り）され、高金利通貨の急落（＝大きな為替差損）を招くことがあります。これを「キャリートレードのアンワインド」と呼びます。 ### 市場への影響 キャリートレードが活発に行われると、低金利通貨が売られ、高金利通貨やリスク資産が買われる傾向が強まるため、市場全体の資金フローや価格形成に影響を与えることがあります。 キャリートレードは、市場が安定している（リスクオン）局面では有効な戦略となりえますが、市場の変動性が高まると大きなリスクを伴う手法です。