Consignment

基本概念

Consignment（委託販売）は、商品の所有権を売主（委託者）に残したまま買主（受託者）に引渡し、実際に第三者への販売が成立した時点で代金決済を行う特殊な取引形態です。在庫リスクを売主が負担する代わりに、買主は販売リスクを軽減できます。

「Consignment Sale」や「Sale on Consignment」とも呼ばれ、特に新市場開拓や季節性の強い商品、高額商品の販売において活用されます。委託販売契約により、販売条件、手数料、返品条件などが詳細に規定されます。

主な特徴

所有権の留保
商品が買主の手元にあっても、売主が所有権を保持し続けます。買主による第三者への販売または一定期間経過まで、法的な所有関係は変わりません。

販売実績による決済
実際の販売数量と販売価格に基づいて代金が決済されるため、市場の需要動向が直接取引に反映されます。未販売分は売主に返品されることが一般的です。

リスク分散効果
売主は在庫リスクを負う代わりに販路拡大の機会を得られ、買主は在庫投資リスクを回避しながら商品ラインの拡充が可能になります。

実務での活用

出版業界では、書店への書籍供給において委託販売が標準的に採用されており、返品制度により書店の経営リスクを軽減しています。アパレル業界でも、季節商品の百貨店への納入で委託販売契約が活用されています。

製薬業界では、高額な医療機器を病院に委託し、使用実績に応じた代金回収を行う事例があります。新商品のマーケットテストや地域限定販売でも、委託販売は有効な手法として用いられています。

メリット- 効果

買主は初期投資を抑制しながら商品ラインの拡充が可能で、売れ残りリスクを回避できます。新規分野への参入や試験的な取り扱いにおいて、財務負担を軽減できます。

売主は既存の販売チャネルを活用した市場拡大が図れ、直接販売では困難な地域や顧客層への アプローチが可能になります。市場動向の把握や顧客ニーズの収集にも有効です。

注意点- リスク

売主は長期間の在庫リスクと管理コストを負担するため、資金繰りへの影響を慎重に検討する必要があります。委託先での商品管理や販売努力の程度をコントロールすることが困難な場合があります。

買主側では、積極的な販売インセンティブが働きにくく、自社商品との販売競合が生じる可能性があります。委託契約の条件設定や管理体制の構築が複雑になる傾向があります。

関連用語との違い

通常の売買契約とは所有権移転のタイミングが異なり、法的責任の所在も変わります。代理店契約との違いは、商品の物理的な引渡しを伴う点です。リースやレンタルとは、最終的な所有権移転を前提としている点で区別されます。