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食品の製造・加工工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害(ハザード)を分析し、特に重要な管理点(CCP)を定めて継続的に監視・記録する、国際的な食品衛生管理システムです。
HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and Critical Control Point の略称で、食品等事業者自らが、危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料入荷から製品出荷までの全工程中、危害要因除去- 低減に特に重要な工程(重要管理点 CCP)を特定し、継続的に監視- 記録することで製品安全性を確保する衛生管理手法です。「危害分析重要管理点」と訳されます。
HACCPは元々、米国で宇宙食の安全性を確保するために1960年代にNASA、ピルズベリー社、米国陸軍研究所により開発されました。宇宙飛行士の食中毒を防ぐため、従来の最終製品検査ではなく、製造工程全体を通じた予防的管理システムとして考案されました。その後、国際的(コーデックス委員会等)に導入が推奨されるようになり、現在では世界標準の食品安全管理システムとなっています。
HACCPシステムの構築は、準備段階(手順1~5)とHACCP計画策定(手順6~12、7原則)に従って進められます。
準備段階(手順1-5):
HACCP 7原則(手順6-12):
予防的アプローチ: 従来の最終製品検査による事後対応ではなく、工程全体を通じて危害要因を管理し、問題発生を未然に防ぐ予防的なシステムです。
科学的根拠: 危害要因分析や管理基準設定は、微生物学、化学、物理学などの科学的データと根拠に基づいて実施されます。
継続的な監視- 記録: CCPでの監視結果を継続的に記録し、管理基準から逸脱があれば速やかに改善措置をとる仕組みが確立されています。
システム的アプローチ: 原材料の受入れから最終製品の出荷まで、全工程を対象とした包括的な管理システムです。
文書化: すべての手順、基準、記録が文書化され、トレーサビリティが確保されます。
2018年の食品衛生法改正により、原則として全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理の実施が義務付けられました(2021年6月完全施行)。
対象事業者の分類:
食品製造業: 原材料の受入れから製品出荷まで、各工程で生物的、化学的、物理的危害要因を特定し、CCPを設定して継続的に管理しています。温度管理、pH管理、金属検出などが典型的なCCPとなります。
食品流通業: 冷蔵- 冷凍食品の温度管理、賞味期限管理、交差汚染防止などを重要管理点として設定し、食品安全を確保しています。
外食産業: 食材の受入れ、保管、調理、提供の各段階で危害要因を管理し、食中毒防止に努めています。特に加熱温度- 時間の管理が重要なCCPとなります。
輸出食品: 輸出先国の要求に応じたHACCPシステムの構築により、国際的な食品取引における信頼性を確保しています。
HACCPは、WHO/FAOのコーデックス委員会により国際食品規格として採択され、WTO/SPS協定の下で国際的に認められた食品安全管理システムです。多くの国で法的要求事項となっており、国際貿易における重要な要素となっています。
ISO 22000: HACCPの原則を含む食品安全マネジメントシステムの国際規格です。HACCPにマネジメントシステムの要素を加えた包括的な規格となっています。
FSSC 22000: ISO 22000をベースとした食品安全認証スキームで、GFSI(Global Food Safety Initiative)により承認された国際的な食品安全規格です。
SQF、BRC、IFS: 小売業界が主導する食品安全規格で、いずれもHACCPの原則を基礎としています。
サプライチェーン管理: グローバル化する食品サプライチェーン全体でのHACCP管理の統合と標準化が重要な課題となっています。
新たな危害要因: アレルゲン、放射性物質、新興病原体などの新たな危害要因への対応が求められています。
中小企業支援: 中小規模事業者でも実践可能なHACCPシステムの簡素化と支援体制の充実が必要です。
HACCPは、食品安全確保のための国際標準的な衛生管理手法として、世界中の食品事業者にとって不可欠なシステムとなっています。科学的根拠に基づく予防的アプローチにより、消費者への安全な食品提供を実現する重要な仕組みです。
ハサップ, 危害分析重要管理点
数量証明書
数量証明書は、商品の正確な数量を証明する公式文書です。独立検査機関が発行し、重量、容積、個数などを記載します。商品取引の決済、保険請求、税関手続きにおいて不可欠な書類となっています。
公差・許容範囲
公差・許容範囲は、規格値からの許容される偏差の範囲を示し、実用性と品質のバランスを取る重要概念です。商品取引では製品受入れ基準、価格調整の根拠、品質リスク管理の指標として機能し、円滑な取引実行を支援します。
適合証明書
適合証明書(Certificate of Conformity, CoC)は、製品が特定規格・規制要求に適合することを証明する第三者機関発行の公的文書です。商品取引では輸出入通関、CE/ULマーク要求、顧客監査対応で必須となる品質保証の基本書類です。
第三者検査
第三者検査(Third Party Inspection, TPI)は、売買当事者から独立した検査機関による客観的品質検証サービスです。商品取引では品質紛争予防、信用状条件充足、保険請求の根拠として、国際取引の信頼性確保に不可欠な仕組みです。
責任主体
契約、法律、プロジェクトなどにおいて、特定の行動の実行、義務の履行、または発生した結果に対して法的な責任や説明責任を負うと定められた当事者(企業、部署、個人など)のことです。
BRC規格
BRC規格(British Retail Consortium Global Standard)は、英国小売協会が策定した食品安全規格です。欧州市場への食品輸出において必須要件となることが多く、商品取引では品質保証と市場アクセスの重要な認証基準です。
カッパーマーク
カッパーマーク(The Copper Mark)は、銅産業の責任ある生産慣行を保証する国際認証制度です。国連SDGsへの貢献を示し、商品取引ではESG要求への対応と、持続可能な銅サプライチェーン構築の重要な差別化要素となっています。
受渡適格等級
受渡適格等級(Deliverable Grade)は、先物契約の現物決済で認められる商品の品質基準です。取引所が定める特定の規格を満たす必要があり、商品取引では価格形成と現物受渡の基準として、市場の信頼性を支える重要な要素となっています。