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コモディティ取引用語辞典トレタム

コモディティ取引に関する専門用語を学べる総合用語集

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    Liquidity Risk

    流動性リスク

    市場リスク

    流動性リスクは、市場の流動性不足により適正価格での取引が困難になるリスクです。商品市場では、現物の物理的制約、市場参加者の偏り、季節性などにより流動性が変動します。複数市場の活用、取引時期の分散などで管理します。

    基本概念

    流動性リスクとは、金融機関や投資家が必要な時に合理的なコストで資金調達を行えない、または保有資産を適正価格で売却できないリスクを指します。英語では「Liquidity Risk」と表記され、「資金流動性リスク」と「市場流動性リスク」の二つに大別されます。資金流動性リスクは資金調達の困難さに関するリスクであり、市場流動性リスクは資産売却の困難さに関するリスクです。両者は相互に関連し合い、金融機関の経営や市場の安定性に重大な影響を与える可能性があります。

    流動性リスクの概念は、19世紀の銀行業の発展とともに認識されるようになりました。1907年の米国金融恐慌、1929年の世界恐慌では、多くの銀行が預金者の取り付け騒ぎにより破綻し、流動性リスクの重要性が広く認識されました。2008年のリーマンショックでは、短期金融市場の機能停止により多くの金融機関が流動性危機に陥り、中央銀行による大規模な流動性供給が必要となりました。この経験を踏まえ、国際的な流動性規制の強化が進められています。

    主な特徴

    突発性: 流動性リスクは市場の信認悪化により突然顕在化する特徴があります。平常時は問題なく調達できていた資金が、一旦信用不安が生じると全く調達できなくなる場合があります。

    伝播性: 一つの金融機関の流動性問題が他の機関に波及し、市場全体の流動性逼迫を招く可能性があります。相互連関の強い金融システムでは、システミックリスクに発展する危険性があります。

    自己実現性: 流動性不安の噂だけで実際に流動性問題が発生する場合があります。預金者や投資家の心理的要因が現実の流動性逼迫を引き起こします。

    非線形性: 流動性の悪化は段階的ではなく、急激に進行する特徴があります。正常な状態から危機的状況へ短期間で変化する可能性があります。

    プロサイクリカリティ: 市場ストレス時に流動性需要が増加する一方で流動性供給が減少し、流動性逼迫が自己増幅する傾向があります。

    実務での活用

    銀行の資金繰り管理: 銀行では、預金の流出、貸出の実行、債券の償還などによる資金需要を予測し、適切な資金調達計画を策定しています。日次、週次、月次の資金繰り表を作成し、短期金融市場での調達、中央銀行からの借入、資産売却などの調達手段を確保しています。流動性バッファーとして現金や国債などの高流動性資産を保有し、緊急時の資金需要に備えています。ストレステストにより極端なシナリオでの資金繰りを検証し、危機時の対応計画を策定しています。

    証券会社の自己資本管理: 証券会社では、顧客の証券売買に伴う決済資金、自己勘定取引の証拠金、レポ取引の担保などで大量の流動性が必要となります。特に市場の変動が激しい時期には、追加証拠金の差入れや強制決済により予期しない資金需要が発生する可能性があります。複数の資金調達ルートを確保し、担保適格資産の十分な保有により、市場ストレス時でも安定的な資金調達を可能にしています。

    保険会社の資産負債管理: 生命保険会社では、保険金支払い、解約返戻金、満期保険金などの支払いに備えて流動性管理を行っています。通常は予測可能な支払いですが、大災害時には巨額の保険金支払いが集中する可能性があります。資産ポートフォリオの一定割合を流動性の高い資産で保有し、必要時には迅速に現金化できる体制を整備しています。また、再保険や巨災債券により大災害リスクを移転し、流動性負担を軽減しています。

    ヘッジファンドの運用: ヘッジファンドでは、投資家の解約請求に応じるため、保有資産の流動性管理が重要です。流動性の低い投資対象(未公開株、不動産、仕組み商品など)の比率を制限し、市場ストレス時でも解約に応じられる体制を維持しています。ゲート条項やロックアップ期間の設定により、大量解約による流動性逼迫を防止しています。レバレッジ取引では、担保価値の変動により追加担保の差入れが必要になる場合があるため、十分な流動性バッファーを確保しています。

    商社の資金管理: 総合商社では、商品取引の決済資金、在庫ファイナンス、設備投資資金などで大量の資金需要が発生します。商品価格の変動により運転資金需要が大きく変動するため、柔軟な資金調達体制が必要です。複数の銀行とのコミットメントライン契約、CP(コマーシャルペーパー)発行枠、社債発行による長期資金調達などにより、多様な調達手段を確保しています。

    資金流動性リスクの管理

    資金流動性リスクは以下の手法により管理されます:

    流動性ギャップ分析: 資産と負債を満期別に分類し、各期間における流動性ギャップ(資金過不足)を分析します。短期間での大幅な資金不足を避けるため、満期構成の調整を行います。

    流動性比率の管理: 流動性の高い資産と短期負債の比率を監視し、一定水準以上を維持します。LCR(流動性カバレッジ比率)、NSFR(安定調達比率)などの規制比率の遵守が求められています。

    資金調達手段の多様化: 預金、短期金融市場、債券市場、株式市場など複数の調達手段を確保し、特定の市場への依存を避けます。調達先の分散も重要な要素です。

    流動性バッファーの保有: 現金、中央銀行預け金、国債などの高流動性資産を一定量保有し、緊急時の資金需要に備えます。担保適格資産の保有も重要です。

    ストレステスト: 市場ストレス、格下げ、風評被害などの極端なシナリオでの資金繰りを検証し、必要な流動性バッファーの水準を決定します。

    市場流動性リスクの管理

    市場流動性リスクは以下の手法により管理されます:

    流動性の高い資産への投資: 上場株式、国債、投資適格社債など流動性の高い資産を中心とした投資を行います。取引量が多く、売買スプレッドが狭い銘柄を選択します。

    保有期間の管理: 流動性の低い資産については保有期間を長期に設定し、短期的な売却圧力を避けます。投資戦略と流動性ニーズの整合性を確保します。

    分散投資: 特定の銘柄や市場への集中を避け、複数の資産クラス、地域、通貨に分散投資を行います。一つの市場の流動性悪化が全体に与える影響を限定します。

    売却計画の策定: 大口保有銘柄については段階的な売却計画を策定し、市場への影響を最小化します。ダークプールやクロス取引の活用も有効です。

    流動性指標の監視: 売買代金、売買回転率、ビッド- アスク- スプレッドなどの流動性指標を継続的に監視し、流動性悪化の兆候を早期に察知します。

    業界別の特徴

    業界により流動性リスクの特徴は異なります:

    銀行業: 預金という短期負債で長期貸出を行う満期変換機能により、本質的に流動性リスクを内包しています。預金保険制度や中央銀行の最後の貸し手機能により一定の保護があります。

    証券業: 顧客取引の仲介、自己勘定取引により日々大量の資金移動があり、精密な流動性管理が必要です。市場変動により短期間で大幅な資金需要変動が発生する可能性があります。

    保険業: 長期の保険契約により比較的安定した負債構造を持ちますが、大災害時には巨額の保険金支払いが集中する可能性があります。

    資産運用業: 投資家の解約請求に応じるため、運用資産の流動性管理が重要です。オープンエンド型ファンドでは日々の解約に対応する必要があります。

    商社: 商品取引の季節性、価格変動により運転資金需要が大きく変動します。貿易金融の特殊性により、専門的な流動性管理が必要です。

    規制動向

    流動性リスクに関する主要な規制は以下の通りです:

    バーゼルIII: LCR(流動性カバレッジ比率)、NSFR(安定調達比率)の導入により、銀行の流動性規制が大幅に強化されています。

    流動性リスク管理: 金融機関に対して、適切な流動性リスク管理体制の整備が求められています。流動性リスク管理方針の策定、流動性ストレステストの実施が義務化されています。

    大口信用供与規制: 単一の資金調達先への依存度制限により、調達の集中リスクが規制されています。

    開示規制: 流動性リスクの状況について、投資家に対する適切な開示が求められています。

    中央銀行の役割

    中央銀行は流動性リスク管理において重要な役割を果たしています:

    最後の貸し手: 金融機関が市場で資金調達できない場合の最終的な流動性供給者として機能します。適格担保を差し入れることで緊急時の資金供給を受けることができます。

    金融政策: 政策金利の調整、量的緩和政策により市場全体の流動性を調節します。金融システムの安定性維持が重要な政策目標となっています。

    金融システムの監視: 金融機関の流動性状況を監視し、システミックリスクの早期発見と対応を行います。

    市場機能の維持: 短期金融市場、債券市場の機能維持により、金融機関の流動性調達を支援します。

    今後の課題

    流動性リスク管理における今後の課題は以下の通りです:

    デジタル化の影響: デジタル通貨、フィンテックの普及により、従来の流動性管理の枠組みに変化が生じる可能性があります。

    グローバル化: 国際的な資金移動の活発化により、クロスボーダーの流動性管理が重要になっています。

    気候リスク: 気候変動に関連するリスクが流動性リスクに与える影響の評価が必要になっています。

    サイバーリスク: サイバー攻撃による決済システムの停止が流動性リスクに与える影響への対応が求められています。

    流動性リスクは、金融機関の存続に直結する重要なリスクです。適切な管理により、金融仲介機能の安定的な提供と金融システムの健全性確保に貢献することが求められています。規制の強化と管理手法の高度化により、より効果的なリスク管理の実現が期待されています。

    同義語・略語

    市場流動性リスク, 資金流動性リスク, 資金繰りリスク

    関連用語
    Interest Rate Risk

    金利リスク

    金利リスクは、金利変動により資産・負債の価値や収益が変動するリスクです。商品取引では、在庫保有コスト、デリバティブ評価、資金調達コストに影響します。金利スワップ、先物、デュレーション管理などにより対処します。

    Concentration Risk

    集中リスク

    集中リスクは、特定の商品、地域、取引先、期間にエクスポージャーが集中することによるリスクです。商品市場では、主要産地への依存、大口顧客への依存、特定限月への集中などが問題となります。分散化とポジション制限により管理します。

    Basis Risk

    ベーシスリスク

    ベーシスリスクは、現物価格と先物価格の差(ベーシス)が変動するリスクです。商品市場では、品質差、地域差、時間差により完全なヘッジが困難となります。収穫期、輸送制約、在庫水準などがベーシスに影響し、ヘッジの有効性を左右します。

    Volatility Risk

    ボラティリティリスク

    ボラティリティリスクは、価格変動率の変化により損失を被るリスクです。商品市場では、供給ショック、天候、地政学的事象により急激にボラティリティが上昇します。オプション価値、リスク管理コスト、ポジション管理に大きく影響します。

    Foreign Exchange Risk

    為替リスク

    為替リスクは、外国為替レートの変動により外貨建て資産・負債・取引の価値が変動するリスクです。商品取引では、多くの商品が米ドル建てで取引されるため、各国通貨との為替変動が収益に大きく影響します。為替予約、通貨オプション、ナチュラルヘッジなどにより管理します。

    SPAN

    SPAN

    SPANは、CMEが開発したポートフォリオベースの証拠金計算システムです。複数の商品・限月にまたがるポジションのリスクを統合的に評価し、相関効果を考慮して証拠金を算出します。シナリオ分析により、市場変動時の最大損失額から必要証拠金を決定します。

    Market Risk Amount

    市場リスク相当額

    市場リスク量は、市場価格変動により発生する潜在的損失額を定量化した指標です。VaR、ストレスVaR、期待ショートフォールなどの手法で測定されます。商品取引では、価格、為替、金利リスクを統合し、リスク資本配分とポジション管理に活用します。

    Downside Deviation

    下方偏差

    ダウンサイド・デビエーションは、目標収益率を下回るリターンのみを対象とした標準偏差です。商品取引では、損失リスクに焦点を当てた指標として、ソルティノレシオの計算、下方リスク管理、保守的なポートフォリオ構築に活用されます。