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コモディティ取引用語辞典トレタム

コモディティ取引に関する専門用語を学べる総合用語集

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    Soft Commodity

    ソフトコモディティ

    コモディティの定義と概念

    農業により栽培・飼育される再生可能な商品群です。穀物、砂糖、コーヒー、綿花、畜産物を含み、生産に季節性があることが特徴です。天候リスクが価格変動の主要因となります。

    ソフトコモディティ(Soft Commodity)は、農業により栽培・飼育される再生可能な商品群を指す分類用語です。ハードコモディティ(地中から採掘する鉱物資源)とは対照的に、地上で栽培・飼育により毎年生産が可能な商品を指します。穀物、油糧種子、砂糖、コーヒー、ココア、綿花、畜産物などが含まれ、主に食料と繊維原料として消費されます。「ソフト」という名称は、硬い鉱物資源である「ハード」コモディティに対して、柔らかい農産物という意味で使われています。

    概念の発展と市場の特徴

    ソフトコモディティの組織的取引は、19世紀の農業大国アメリカで始まりました。シカゴが穀物、ニューヨークがコーヒーと砂糖、メンフィスが綿花の取引中心地として発展しました。農産物の季節性と価格変動リスクに対処するため、先物取引が発達し、現在では現物市場を大きく上回る規模の派生商品市場が形成されています。

    ハードコモディティと異なり、毎年の生産サイクルにより供給調整が可能ですが、天候という制御不能な要因に大きく左右されます。この不確実性が、ソフトコモディティ特有の価格ボラティリティを生み出しています。

    主要商品カテゴリー

    穀物類
    小麦、トウモロコシ、米、大麦などの主食作物です。世界人口の増加と食生活の変化により、需要は安定的に増加しています。特にトウモロコシは、食用、飼料用、工業用(エタノール)と用途が多様化し、「穀物の王様」と呼ばれています。

    油糧種子
    大豆、菜種、ひまわり、パーム果実などから植物油と飼料用ミールを生産します。大豆は「奇跡の作物」と呼ばれ、油とタンパク質を同時に供給します。中国の大豆輸入(世界貿易量の60%)が、市場価格を大きく左右しています。

    熱帯農産物
    コーヒー、ココア、砂糖、天然ゴムなど、主に熱帯・亜熱帯地域で生産されます。嗜好品としての性格が強く、所得弾力性が高い(所得増加により需要が大きく増える)特徴があります。生産国の多くが発展途上国で、これらの輸出収入に経済を依存しています。

    繊維作物
    綿花が代表的で、天然繊維の約80%を占めます。合成繊維との競合関係にありますが、肌触りや吸湿性などの特性から根強い需要があります。インド、中国、米国が主要生産国で、パキスタン、バングラデシュなどが主要消費国です。

    畜産物
    生牛、豚肉、鶏肉などの食肉と、牛乳、鶏卵などが含まれます。飼料穀物価格と強い相関を持ち、「コーン- ホッグ- レシオ」(トウモロコシ価格に対する豚肉価格の比率)などの指標が使われます。

    生産の特性

    季節性と作付けサイクル
    北半球と南半球で生産時期が異なり、年間を通じた供給が可能です。米国の大豆(9-10月収穫)とブラジルの大豆(2-3月収穫)が補完関係にあります。農家の作付け判断は、前年の価格と作付け時点の先物価格に影響されます。

    天候依存性
    生育期の降水量、気温、日照が収量を決定します。エルニーニョ/ラニーニャ現象は、複数の産地に同時影響を与える「システミックリスク」となります。

    生物学的リスク
    病虫害、疫病などが生産に影響します。コーヒーのさび病、バナナのパナマ病、アフリカ豚熱などが近年の例です。単一品種の大規模栽培(モノカルチャー)は、効率的ですが病害リスクを高めます。

    価格形成メカニズム

    需給バランスと在庫率
    期末在庫率(在庫÷年間消費量)が価格の重要指標となります。FAO(国連食糧農業機関)は、穀物在庫率17-18%を食料安全保障の最低ラインとしています。2007〜08年の食料危機時には、在庫率が15%まで低下し、価格が暴騰しました。

    投機資金の流入
    2000年代以降、商品インデックス投資の拡大により、金融市場との連動性が高まりました。天候相場の局面では、投機筋のポジションが価格変動を増幅させることがあります。CFTC(米商品先物取引委員会)の建玉報告が、市場センチメントの指標となっています。

    政策介入
    輸出規制、輸入関税、価格支持、備蓄放出などの政府介入が頻繁に行われます。インドのタマネギ輸出禁止、ロシアの小麦輸出税、中国の備蓄政策などが国際価格に影響を与えています。

    流通構造

    国際穀物メジャー
    ADM、ブンゲ、カーギル、ルイドレファス(頭文字をとってABCDと呼ばれる)が、世界の穀物貿易の約70%を支配しています。集荷、保管、輸送、加工を垂直統合し、情報優位性を活かして収益を上げています。近年は、中国のCOFCO、日本の商社も存在感を増しています。

    品質管理と認証
    有機認証、フェアトレード、レインフォレスト・アライアンスなど、持続可能性に関する認証が増えています。プレミアム価格での取引が可能ですが、認証取得- 維持のコストも発生します。

    現代の課題

    食料安全保障
    人口増加、食生活の高度化(肉食の増加)により、2050年までに食料生産を70%増やす必要があります。耕地拡大の限界から、単位収量の向上が不可欠ですが、気候変動が阻害要因となっています。

    水資源の制約
    農業は淡水使用の約70%を占め、水不足が生産制約となっています。点滴灌漑、耐乾性品種の開発などの対策が進められていますが、地下水の枯渇は深刻な問題です。

    フードロスと廃棄
    生産された食料の約3分の1が廃棄されています。先進国では消費段階、途上国では生産- 流通段階でのロスが多く、サプライチェーンの改善が課題です。

    技術革新と将来展望

    精密農業
    GPS、ドローン、センサー、ビッグデータを活用し、圃場内の変異に応じた最適な栽培管理を行います。肥料- 農薬の使用量削減と収量向上の両立が可能となっています。

    ゲノム編集
    CRISPR-Cas9などの技術により、耐病性、耐乾性、高収量品種の開発が加速しています。遺伝子組み換えと異なり、外来遺伝子を導入しないため、規制が緩い国もあります。

    代替タンパク質
    植物性肉、培養肉、昆虫食などが、従来の畜産物を代替する可能性があります。環境負荷の低減と食料安全保障の観点から注目されていますが、消費者受容性が課題です。

    ソフトコモディティは、人類の生存と生活の質に直結する essential な商品群として、今後も重要性を増していくでしょう。気候変動への適応と持続可能な生産体系の構築が、21世紀の農業の最大の課題となっています。

    関連用語
    Energy Commodity

    エネルギー商品

    エネルギー源として利用される商品群です。原油、天然ガス、石炭、電力を含み、世界経済の動力源として不可欠です。地政学リスクと環境規制が価格形成に大きく影響し、エネルギー転換により市場構造が変化しています。

    Perishability

    劣化性

    コモディティが時間経過により品質劣化する性質です。特に農産物や畜産物で顕著であり、保管・輸送方法、在庫管理、価格の季節性に大きく影響する重要な特性です。

    Standardization

    標準化

    コモディティを効率的に取引するため、品質・数量・規格を統一する過程です。これにより商品の代替可能性が確保され、大規模な市場取引と価格発見機能が実現します。

    Agricultural Commodity

    農産物商品

    農業により生産される商品群の総称です。穀物(小麦、トウモロコシ)、油糧種子(大豆)、ソフト農産物(砂糖、コーヒー)を含み、食料安全保障と密接に関連します。天候や作付面積が価格に大きく影響する特徴があります。

    Tradability/Liquidity

    流通性

    商品が市場で容易に売買できる性質を示します。取引量の多さ、市場参加者の多様性、価格透明性により決定され、効率的な価格形成と低い取引コストを実現する市場の重要な特性です。

    Storability

    保存性

    コモディティが品質を保持したまま保管できる性質です。金属は長期保存可能、農産物は劣化しやすいなど、商品により大きく異なり、在庫コストと価格形成に直接影響します。

    Metal Commodity

    金属商品

    金属系商品の総称で、貴金属(金、銀)とベースメタル(銅、アルミ)に大別されます。工業原料としての需要と、投資資産としての需要の両面を持ち、経済成長と密接に連動する特徴があります。