Break-even Inflation

### 概要 ブレークイーブン・インフレ率（Break-even Inflation rate, BEI）とは、特定の期間における、通常の固定利付国債の利回り（名目利回り）と、同じ満期を持つ物価連動国債（インフレ連動債、TIPSなど）の利回り（実質利回り）との差を指します。この利回り差は、金融市場の参加者がその期間に対して平均的にどの程度のインフレ率を予想（期待）しているかを示す指標として解釈されます。「期待インフレ率」や「損益分岐インフレ率」と呼ばれることもあります。 ### 計算式 BEI = 同一満期の固定利付国債利回り - 同一満期の物価連動国債利回り ### 考え方 物価連動国債の利回りは実質リターンに近いのに対し、固定利付国債の利回り（名目利回り）は実質リターンに加えて将来のインフレ期待（インフレプレミアム）等が含まれると考えられます。そのため、両者の利回り差（BEI）は、市場が織り込む「将来の平均インフレ率」の近似値と見なせます。 ### 利用場面 - **期待インフレ率の指標:** 金融政策当局や市場参加者が、市場のインフレ期待を把握するために注目します（通常5年物や10年物BEI）。 - **金融政策への示唆:** 市場期待が中央銀行の目標から乖離している場合、政策変更を示唆する可能性があります。 - **投資判断:** 将来インフレ予測とBEIを比較し、固定利付国債と物価連動国債の相対的な有利不利を判断します。 ### 注意点 - BEIには期待インフレ率だけでなく、流動性プレミアムやインフレリスクプレミアムなども含まれる可能性があるため、純粋な期待インフレ率そのものではありません。 - 計算対象とする国債によって値は異なります。 BEIは、債券市場から導き出される、将来のインフレに対する市場の見方を示す指標として利用されます。