商品の出荷前に買主が代金を全額支払う決済方法です。売主にとって最も安全な条件で、貿易金融や為替リスクを回避できます。新規取引先や信用力に不安がある場合に採用されることが多く、買主側では資金繰りの負担が大きくなります。
Cash In Advance(前払い決済)は、商品の出荷や サービスの提供前に、買主が代金の全額または一部を売主に支払う決済条件です。国際貿易において最も安全性の高い決済方法として位置づけられ、売主のリスクを最小化します。
「Payment in Advance」や「Prepayment」とも呼ばれ、特に新規取引先や信用状況が不明な相手との取引で採用されます。輸出入の両方において、確実な代金回収を前提とした取引条件として機能します。
売主の安全性確保
代金を事前に受領するため、買主の支払不能リスクや貿易代金の回収リスクが完全に排除されます。売主にとって最も有利な決済条件となります。
即時資金調達効果
商品出荷前に資金を受領できるため、売主の資金繰りが改善され、生産資金や運転資金として活用できます。特に資金力の限られた中小企業にとって有効です。
為替リスクの回避
代金受領時点で為替レートが確定するため、その後の為替変動リスクを回避できます。長期間の製造期間を要する商品の取引に適しています。
製造業では、特注品や大型設備の輸出において、製造開始前の代金受領により資金調達と リスク回避を図っています。IT関連企業では、ソフトウェア開発プロジェクトの着手金として前払いを受領する場合があります。
新興国向けの輸出では、政治リスクや為替リスクを考慮して前払い条件を提示することが一般的です。逆に、買主側では信用力のアピールや価格交渉の材料として前払いを提案する場合もあります。
売主は確実な代金回収と早期資金調達が可能となり、事業拡大のための資金循環が改善されます。信用調査や債権管理のコストも削減でき、管理業務の効率化にもつながります。
買主にとっても、前払いによる価格ディスカウントの交渉や、確実な商品確保などのメリットを享受できる場合があります。
買主の資金負担が大きく、取引条件として受け入れられにくい場合があります。特に大型取引では、買主の資金調達能力が制約要因となる可能性があります。
売主側では、代金受領後の商品供給責任が重大となり、品質や納期に問題が生じた場合の信用失墜リスクがあります。また、前払い受領額の適切な管理と会計処理が必要です。
Open Account(後払い)とは正反対の条件で、リスク負担が完全に逆転します。L/C決済と比較すると、銀行保証がない代わりに、手続きが簡素で迅速な決済が可能です。部分前払いと残金後払いを組み合わせた混合条件も実務では多用されています。
CIA, 現金前払い, 前受金 (会計上の扱い)
後払い決済
商品の引渡し後に代金を支払う決済方法です。売主と買主の間に信頼関係があることが前提となり、買主にとって最も有利な条件です。国際取引では信用調査や与信管理が重要で、取引先の支払能力を十分に検討する必要があります。
国際送金
SWIFTネットワークを利用した国際間の銀行送金システムです。世界200以上の国と地域で利用され、安全で標準化された送金が可能です。送金指示、受取確認、資金決済が体系化されており、国際貿易決済の基幹インフラとして機能しています。
委託販売
商品の所有権を売主に残したまま買主に引渡し、実際に販売された時点で代金を支払う方式です。売主がリスクを負う代わりに販路拡大が期待でき、買主は在庫リスクを負わずに商品を扱えます。委託契約で販売条件を明確にします。
電子決済
インターネットや専用システムを通じて行う電子的な決済手段です。オンライン決済、デジタルウォレット、仮想通貨決済などが含まれます。決済の迅速化とコスト削減が可能で、特に小額取引や頻繁な取引において効率性を発揮します。
期限付信用状
船積日から一定期間後に代金を支払う条件が付いた信用状です。30日、60日、90日後払いなどが一般的で、買主に資金調達の猶予を与えます。期間中の金利負担や為替リスクを考慮した取引条件の設定が重要となります。
決済条件
商取引における代金支払いの条件を定めた契約条項です。支払方法、支払時期、通貨、金利、遅延損害金などを規定します。売買契約の重要な構成要素で、取引リスクの分散と資金繰りの計画に直接影響する重要な取り決めです。
電信送金
銀行間の電子ネットワークを通じて資金を送金する方法です。迅速で確実な送金が可能で、少額から大額まで対応できます。送金手数料、為替手数料、受取手数料などのコストがかかりますが、現金決済の基本的な手段として広く利用されています。
一覧払い信用状
一覧払い信用状(L/C at Sight)は、貿易取引における決済方式で、船積書類の提示と同時に代金が支払われる信用状です。輸出者にとっては迅速な代金回収が可能になり、輸入者にとっては確実な商品の入手が保証されます。商品取引では、貿易決済の迅速化とリスク軽減において重要な決済条件です。