Closet Tracker Funds

### 概要 クローゼット・トラッカーファンド（Closet Tracker Funds）とは、表向きは特定のベンチマーク（例: TOPIX、S&P 500）を上回るリターンを目指す「アクティブ運用ファンド」として販売され、比較的高水準の運用手数料（信託報酬など）を徴収しているにもかかわらず、実際のポートフォリオ構成や運用成績が、そのベンチマークに極めて近い、あるいはほとんど連動している投資信託を指す批判的な用語です。「隠れインデックスファンド」や「見せかけのアクティブファンド」とも呼ばれます。 ### 問題点 - **手数料とパフォーマンスの不整合:** 投資家は、ベンチマークを上回る超過リターン（アルファ）を期待して高いアクティブ運用手数料を支払っているのに、実質的には（低コストで実現可能な）インデックス運用に近いリターンしか得られない可能性があります。 - **説明責任・透明性の欠如:** ファンドの運用実態が、その名称や目論見書で謳われているアクティブ運用の方針と乖離している可能性があります。 ### 判別方法 あるファンドがクローゼット・トラッカーであるか否かを判断するための明確な基準はありませんが、以下のような指標が参考にされます。 - **アクティブシェア (Active Share):** ファンドのポートフォリオ構成が、ベンチマークの構成とどれだけ異なっているかを示す指標。アクティブシェアが低い（ベンチマークに近い）ほど、クローゼット・トラッカーの疑いが高まります。 - **トラッキングエラー (Tracking Error):** ファンドのリターンがベンチマークのリターンからどれだけ乖離するかを示す指標（標準偏差）。トラッキングエラーが小さいほど、ベンチマークへの連動性が高いことを示します。 ### 背景 ファンドマネージャーが、ベンチマークから大きく乖離した運用を行って失敗するリスク（キャリアリスク）を避けるために、結果的にベンチマークに近い運用になりやすい傾向があることなどが背景として指摘されています。 欧州などでは、規制当局がクローゼット・トラッキングに対する監視を強める動きも見られます。投資家は、アクティブファンドを選択する際に、その手数料水準と実際の運用内容（アクティブシェアなど）を比較検討することが望ましいと言えます。