Compulsory Delivery Contracts

### 概要 強制受渡契約（Compulsory Delivery Contracts）とは、主に商品先物市場において、その先物契約が満期を迎えた際に、反対売買によって決済されずに残った全ての未決済建玉（ポジション）について、契約のルールに基づき、**必ず現物の受け渡し（Physical Delivery）を行わなければならない**と定められている契約方式を指します。 ### 差金決済契約との違い 多くの金融先物や一部の商品先物では、満期時に現物の受け渡しを行わず、最終清算価格と約定価格との差額を現金で受け払いする「差金決済（Cash Settlement）」が採用されています。強制受渡契約はこれとは異なり、満期までポジションを保有していた場合、売り手は現物商品を搬入する義務、買い手はそれを受け取り代金を支払う義務を負います。 ### 特徴と意味合い - **現物市場との結びつき:** 現物の受け渡しを前提とすることで、先物価格と現物価格との間の連動性をより強く確保しようとする意図があります。 - **参加者の限定:** 現物の受け渡しを行う能力と意思のある市場参加者（生産者、実需家、商社など）の参加が中心となる傾向があります。 - **受渡プロセスの重要性:** 満期が近づくと、受渡適格等級の商品の確保、指定倉庫への輸送・搬入、品質検査などの現物受け渡しプロセスが重要となります。 ### 例 ロンドン金属取引所（LME）の主要な金属先物契約や、一部の農産物先物契約などが、強制受渡（またはそれに近い仕組み）を採用しています。 強制受渡契約は、デリバティブ市場と現物市場との間の強固な結びつきを担保するための契約形態と言えます。