COSO ERM

### 概要 COSO ERMフレームワークは、米国の民間団体であるトレッドウェイ委員会支援組織委員会（COSO）が開発・公表している、全社的リスクマネジメント（Enterprise Risk Management, ERM）に関する国際的なフレームワークです。組織が目標を設定し達成する過程において、リスクを効果的に識別、評価、対応、監視するための包括的な指針を提供します。 ### 最新版（COSO ERM 2017）の構成要素 2017年に改訂された最新版「リスクマネジメントと戦略及び目標設定の統合」では、ERMを5つの構成要素と20の原則で整理しています。 - **ガバナンスと組織風土:** ERMの基盤となる組織の統治体制やリスクに対する姿勢。 - **戦略と目標設定:** 組織戦略と整合した目標設定とリスク許容度の定義。 - **実行:** リスクの識別、評価、優先順位付け、対応（回避、低減、移転、受容）。 - **レビューと改訂:** リスクとパフォーマンスをレビューし、ERMを継続的に改善。 - **情報、コミュニケーション、報告:** ERMに関する情報を組織内外で効果的に共有・報告。 ### 目的と意義 このフレームワークは、リスクマネジメントを単なる損失回避ではなく、組織の戦略設定や目標達成、価値創造に貢献するプロセスとして位置づけています。 ### 利用場面 - **ERM体制の構築・導入:** 全社的なリスク管理体制整備の指針。 - **リスク管理プロセスの評価・改善:** 既存体制の有効性評価と改善点の特定。 - **内部監査・外部評価:** 組織のリスク管理状況評価の基準。 COSO ERMフレームワークは、COSO内部統制フレームワークと並び、組織のガバナンスとリスク管理に関するグローバルスタンダードの一つと見なされています。