Discrepancy

### 概要 ディスクレパンシー（Discrepancy）とは、主に国際貿易における信用状（L/C）取引において、輸出者（受益者）が銀行に提示した船積書類（例: B/L, インボイス等）の内容と、L/Cに記載された要求条件との間に**不一致（食い違い）**がある状態を指します。単に「ディスクレ」と略されることが多いです。 ### 信用状取引における原則 L/C取引では、銀行は書類のみに基づいて取引を行い、その書類がL/C条件と完全に一致しているかを厳密に審査します（**書類取引の原則、厳密一致の原則**）。少しでも不一致があればディスクレと見なされます。 ### ディスクレとなりうる例 - 書類の記載内容の誤り（スペルミス、日付矛盾、金額不一致等） - 要求書類の不足、要求外書類の提出 - 書類提示期限等の超過 - B/L上の船積港等の記載がL/C指定と異なる - 商品記述の不一致 - サイン漏れ等 ### 影響 ディスクレがあると、銀行は支払いを拒否する権利を持ちます。 - 輸出者は代金回収不能リスクが生じます。 - 実務上は、L/Cのアメンドメント（条件変更）、ケーブルネゴ（発行銀行への照会）、L/Gネゴ（輸出者の保証状差入）、取立扱い（B/C）などの対応が取られることがあります。 ### 防止策 輸出者はL/C受領時に内容をよく確認し、書類作成時に細心の注意を払うことが極めて重要です。 ディスクレは、L/C取引における最も一般的なトラブルの一つです。