Fixed Price Contract

### 概要 固定価格契約（Fixed Price Contract）とは、提供される商品、サービス、あるいは完了すべきプロジェクト全体に対して支払われる価格（契約金額）が、契約を締結する時点で確定しており、原則として契約期間中に変動しない契約方式のことです。「定額契約」や、建設工事などでは「固定価格請負契約」とも呼ばれます。コストプラス契約（実費精算契約）と対比される概念です。 ### 特徴 - **価格の確定性:** 買い手（発注者）にとっては、支払うべき総額が事前に明確になるため、予算管理が容易になります。 - **コスト超過リスクの負担者:** 通常、実際にかかったコストが当初の見積もりを超過した場合のリスクは、売り手（受注者）側が負います。 - **売り手のインセンティブ:** 売り手には、コストを効率的に管理し、契約価格以下に抑えることで利益を最大化しようとするインセンティブが働きます。 ### 種類 - **確定固定価格契約 (FFP):** 価格は一切変動しません。 - **経済価格調整付き固定価格契約 (FPEPA):** インフレや特定原材料価格の変動に応じて価格調整を行う条項が含まれる場合があります。 - **インセンティブ付き固定価格契約 (FPIF):** コスト削減目標達成度などに応じて売り手に追加インセンティブが支払われる場合があります。 ### 利用場面 - **仕様・要件が明確なプロジェクト:** 成果物や作業範囲が明確に定義できる場合に適しています。 - **買い手が価格変動リスクを避けたい場合:** 予算を確定させたい公共事業などで多く用いられます。 ### 注意点 - **売り手のリスク:** 予期せぬコスト増が発生した場合、売り手が損失を被るリスクがあります。 - **仕様変更への対応:** 契約途中で仕様変更が発生した場合、価格等の再交渉が必要となり、手続きが煩雑になる可能性があります。 固定価格契約は、価格の明確性が利点ですが、コスト超過リスクを売り手が負う構造となります。