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地球内部の熱を利用する再生可能エネルギー。火山国日本は世界第3位の地熱資源量を持ち、安定的なベースロード電源として期待されます。地熱発電は設備利用率70%以上と高く、バイナリー発電技術により中低温資源も活用可能で、2030年に1.5GWの導入目標が設定されています。
地熱エネルギーは、地球内部の放射性元素の崩壊熱やマグマの熱を利用する再生可能エネルギーです。地下数kmの高温岩体や熱水貯留層から蒸気や熱水を取り出し、タービンを回して発電します。火山帯に位置する日本は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位(2,340万kW)の地熱資源量を持ちます。天候に左右されず24時間安定発電が可能で、設備利用率70-80%とベースロード電源として優れた特性を持ちます。
フラッシュ発電: 150℃以上の高温蒸気を直接利用し、最も一般的な発電方式です。バイナリー発電: 80-150℃の中低温資源を活用し、低沸点媒体を使用して発電します。高温岩体発電(EGS): 人工的に地熱貯留層を造成する次世代技術です。超臨界地熱発電: 400℃以上の超臨界状態を利用し、従来の10倍の出力が期待されます。温泉発電: 50-100kWの小規模分散型発電で、地域活性化にも貢献します。
世界の地熱発電容量は16GW(2023年)で、米国(3.8GW)、インドネシア(2.4GW)、フィリピン(1.9GW)、トルコ(1.7GW)、ニュージーランド(1GW)が主要国です。日本は約550MW(60万kW)で世界第10位、国内電力の0.3%を供給しています。大分県(九重、八丁原)、秋田県(澄川)、岩手県(松川)などで大規模発電所が稼働中です。2019年以降、山形県、秋田県で新規発電所が運転開始し、約40地点で開発調査が進行中です。
利点: CO2排出が極めて少ない(15g-CO2/kWh)、燃料費不要、安定供給(設備利用率70%以上)、国産エネルギーによるエネルギー安全保障、地域経済活性化が挙げられます。発電所寿命は40年以上と長期運用が可能です。課題: 開発リスクとコスト(調査から運転まで10-15年、数百億円)、温泉事業者との調整、国立公園内の開発規制(資源の80%が国立公園内)、熱水の枯渇リスク、環境影響(硫化水素、景観)があります。
日本は2030年に1.5GW(現在の約3倍)の導入目標を設定しました。JOGMECによる地熱資源調査、掘削費用の助成(最大75%)、債務保証制度があります。FIT制度では15MW以上40円/kWh、15MW未満26円/kWhの買取価格を設定しています。環境省は国立公園内の地熱開発規制を段階的に緩和し、優良事例形成を支援しています。地域との合意形成支援、温泉モニタリング体制の構築も進めています。
2050年に世界で200GW、日本で5GWへの拡大が期待されます。超臨界地熱発電の商業化(2040年代)により、1地点で100MW級の大規模発電が可能になります。地熱の直接利用(地域熱供給、農業、養殖)も拡大し、地域循環共生圏の形成に貢献します。カーボンニュートラル実現に向けて、安定電源として重要性が増していきます。
水力発電
水力発電は、水の位置エネルギーや運動エネルギーを電力に変換する再生可能エネルギーです。安定的な出力と調整力を持ち、電力市場において重要なベースロード電源および調整電源として機能しています。
バイオマスエネルギー
生物由来の有機資源を燃料とする再生可能エネルギー。木質バイオマス、農業残渣、廃棄物などを燃焼・ガス化・発酵により電力や熱に変換します。カーボンニュートラルで地域資源を活用でき、日本では年間2,000万トンの未利用バイオマスがエネルギー化可能です。
クリーンエネルギー
クリーンエネルギーは、環境への影響が少ない再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの総称です。太陽光、風力、水力などが含まれ、カーボンニュートラル実現の中核として商品市場でも重要性が増しています。
バイオディーゼル
バイオディーゼルは植物油や廃食油から製造される再生可能な軽油代替燃料です。FAME(脂肪酸メチルエステル)とHVO(水素化植物油)があり、軽油に5-20%混合して使用されます。世界で年間約500億リットルが生産され、輸送部門の脱炭素化に貢献する重要な代替燃料です。
太陽光発電
太陽光発電は太陽電池により光を直接電気に変換する再生可能エネルギー技術です。光電効果を利用し、発電時にCO2を排出しないクリーンな電源です。設置コストが10年で90%低下し、世界で最も急速に普及する電源となり、2023年の世界導入量は1.4TWを超えました。
再生可能エネルギー
自然界に存在し、繰り返し利用できるエネルギー源の総称です。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどが含まれ、化石燃料と異なり枯渇しません。世界のエネルギー転換の中核として、発電容量の急速な拡大と価格低下が進んでいます。