Iron

概要

鉄（Iron）は、原子番号26、元素記号Fe（ラテン語の Ferrum に由来）で表される遷移金属元素です。地殻中に非常に豊富に存在する元素であり（アルミニウムに次いで4番目）、その利用しやすさと優れた特性から、人類の文明発展において中心的な役割を果たしてきました。

特徴

• 強度と加工性: 純粋な鉄は比較的柔らかいですが、炭素などを少量添加した合金である「鋼（Steel）」は、非常に高い強度と靭性を持ち、圧延、鍛造、溶接、切削など様々な方法で加工できます。
• 経済性: 原料となる鉄鉱石が豊富に存在し、製錬技術も確立されているため、安価に大量生産が可能です。
• 磁性: 強磁性（磁石に強く引きつけられる性質）を示す代表的な金属であり、電磁石やモーターなどに利用されます。
• 錆びやすさ: 空気中の酸素や水と反応して錆びやすい（酸化されやすい）という欠点があります。これを克服するために、めっきや塗装、あるいはステンレス鋼のような合金化が行われます。

主な形態と用途

鉄は、主に炭素含有量によって以下のように分類され利用されます。

• 鋼 (Steel): 炭素含有量が約0.02～2.14%。最も広く利用される鉄系材料。建設（鉄骨、鉄筋）、自動車、船舶、鉄道、機械、電気製品、缶、工具など、あらゆる分野で使われます。
• 鋳鉄 (Cast Iron): 炭素含有量が約2.14%以上。鋳造で製品形状にする。マンホール蓋、エンジン部品、調理器具など。
• 純鉄: 炭素含有量が極めて少ないもの。特殊な電磁材料などに限定的に利用されます。

市場

鉄そのものが直接取引されることは稀で、通常は原料である鉄鉱石や原料炭、あるいは半製品（ビレット等）や最終製品（鋼材）として市場で取引されます。

鉄は、その汎用性と経済性から、現代社会を支える最も基本的な金属材料と言えます。