Manganese

### 概要 マンガン（Manganese）は、原子番号25、元素記号Mnで表される遷移金属元素です。銀白色で硬くてもろい金属ですが、単体で利用されることは少なく、主に合金の成分として、また化合物として多様な用途に用いられます。 ### 主な用途 マンガンの最大の用途は、**鉄鋼業における合金添加剤**です。 - **鋼鉄の性質改善:** 鉄鋼（特に鋼）を生産する際に、フェロマンガン（鉄とマンガンの合金）やシリコマンガン（ケイ素、マンガン、鉄の合金）の形で添加されます。マンガンは、鋼の強度、硬度、靭性（粘り強さ）、耐摩耗性を向上させ、また製鋼プロセスにおける脱酸剤・脱硫剤としても機能します。ほぼ全ての鋼材にマンガンが少量添加されており、鉄鋼生産に不可欠な元素です。特殊鋼（マンガン鋼など）ではより多く添加されます。 - **非鉄合金:** アルミニウム合金（耐食性向上）、銅合金（マンガン青銅など）にも添加されます。 その他の用途としては、以下があります。 - **乾電池:** 二酸化マンガン（MnO2）が、マンガン乾電池やアルカリ乾電池の正極活物質として広く利用されています。近年ではリチウムイオン二次電池の正極材料（マンガン酸リチウムなど）としても利用が拡大しています。 - **その他化合物:** 過マンガン酸カリウム（酸化剤、殺菌剤）、硫酸マンガン（肥料、飼料添加物）、顔料、フェライト（磁性材料）など、様々な化合物が利用されています。 ### 資源と市場 主な鉱石は二酸化マンガンを主成分とする軟マンガン鉱（パイロルーサイト）や菱マンガン鉱などです。南アフリカ、オーストラリア、中国、ブラジル、ガボンなどが主要な生産国です。需要の大部分が鉄鋼業向けであるため、世界の粗鋼生産量の動向がマンガンの需給と価格に大きな影響を与えます。