Multinational Contract

### 概要 多国籍契約（Multinational Contract）または国際契約（International Contract）とは、契約を締結する当事者がそれぞれ異なる国に籍を置いていたり、契約の対象となる取引やプロジェクトの履行地が複数の国にまたがっていたりするなど、二つ以上の国の法律、規制、慣習、通貨などが関連しうる契約の総称です。 ### 特徴と考慮事項 国内契約と比較して、以下のような特有の複雑さや考慮事項が生じます。 - **準拠法 (Governing Law):** 契約解釈に適用する法律を明確に定める必要があります。 - **紛争解決 (Dispute Resolution):** 紛争時の裁判管轄や仲裁手続きなどを定めておく必要があります。 - **言語:** 契約書の言語と正文を明確にする必要があります。 - **通貨・為替リスク:** 取引価格の建値通貨と決済通貨、為替リスク負担などを定める必要があります。 - **税務:** 各国の税法（法人税、源泉徴収税、関税、VATなど）の適用を考慮する必要があります。 - **法規制:** 各国の輸出入規制、安全基準、労働法、知財法、データ保護法などの遵守が必要です。 - **文化・商慣習:** 異なる文化・商慣習間の認識のずれに注意し、契約条件を明確にする必要があります。 ### 例 - 国際物品売買契約 - 国際ライセンス契約、技術提携契約 - 合弁事業契約 - 国際的な建設・プラント契約 - 国際的な融資契約、保証契約 多国籍契約（国際契約）の締結・履行にあたっては、国際法務、国際税務などの専門知識が不可欠となります。