Non-Recourse Loan

### 概要 ノンリコースローン（Non-Recourse Loan）とは、融資（ローン）の契約形態の一つで、借り手が債務の返済を履行できなくなった（デフォルトした）場合に、貸し手（金融機関など）が債権回収を行える範囲を、**担保として提供された特定の資産（例: 不動産、プロジェクト資産、船舶、航空機など）のみに限定**し、借り手のその他の資産や収入に対しては返済請求（遡及、リコース）を行わない、という取り決めがなされた融資のことです。「非遡及型融資」とも訳されます。 ### リコースローンとの違い 通常の融資（リコースローン、Recourse Loan）では、担保資産の価値が下落するなどして、担保を処分しても融資残高を全額回収できない場合、貸し手は借り手の他の資産（個人の場合は給与なども含む）に対しても返済を求めることができます。ノンリコースローンでは、この借り手の他の資産への遡及ができません。 ### 利用場面 - **プロジェクトファイナンス:** 大規模なインフラプロジェクトなどで、返済原資をそのプロジェクトが生み出すキャッシュフローに限定し、事業主（スポンサー）本体へのリスク波及を抑えるために広く用いられます。 - **不動産ファイナンス:** 特定の収益不動産を担保とし、返済原資をその賃料収入などに限定する融資。 - **その他:** 船舶ファイナンス、航空機ファイナンスなど、特定の高額資産を対象とするファイナンス。 ### 特徴 - **借り手のリスク限定:** 借り手（事業主）にとっては、万が一プロジェクト等が失敗した場合でも、損失が担保資産の範囲に限定されるメリットがあります。 - **貸し手のリスク増加:** 貸し手にとっては、回収できる範囲が担保資産に限定されるため、リコースローンに比べて信用リスクが高くなります。 - **金利・条件:** 上記のリスクを反映し、通常、ノンリコースローンの金利はリコースローンよりも高く設定され、担保となる資産や事業計画に対する審査（デューデリジェンス）もより厳格に行われます。 ノンリコースローンは、特定事業のリスクを切り離して資金調達を行うための手法です。