Ring Trading

### 概要 リング取引（Ring Trading）とは、証券取引所や商品取引所の物理的な取引フロアにおいて、ブローカーやディーラーが、特定の円形の場所（「リング」）に集まり、大声（オープンアウトクライ方式）やハンドサインを用いて売買注文を出し合い、価格を形成し、取引を成立させる伝統的な取引方法です。「リング」は、特にロンドン金属取引所（LME）の立会場取引を指す代名詞として有名です。 ### 特徴 - **オープンアウトクライ:** 参加者が互いに見える場所で、声や手ぶりで注文内容を提示しあいます。 - **価格発見:** 多数の参加者の意思が直接ぶつかり合うことで、透明性の高い価格発見機能を持つとされてきました。 - **特定のセッション:** 通常、特定の時間帯（セッション）に区切って取引が行われます。 ### LMEにおけるリング取引 LMEは、現在もリング取引を（一部の価格決定において）維持している数少ない取引所の一つです。 - **公式価格の決定:** LMEの主要非鉄金属の「公式価格」は、主に特定のリングセッションでの取引に基づいて決定されます。これらの価格は世界中の現物契約の基準として広く利用されます。 - **他の取引方法との併用:** LMEでは、リング取引以外に、インターディーラー電話市場や電子取引プラットフォーム（LMEselect）でも取引が行われています。 ### 近年の動向 世界的に取引所の電子化が進む中で、物理的な立会場やリング取引は減少傾向にあります。LMEにおいても、リング取引の役割や存続については議論がありましたが、現状では一部機能が維持されています。 リング取引は、市場の活気や人間の介在による情報交換といった側面を持つ、歴史的な取引形態です。