Risk Capital

### 概要 リスクキャピタル（Risk Capital）とは、企業、特に金融機関などが、通常の経営活動で想定される損失を超えるような、予期せぬ大きな損失（非期待損失）が発生した場合でも、その損失を吸収し事業を継続するために、内部的に保持しておくべき、あるいは保持している自己資本などの資本の総量を指す概念です。「経済資本（Economic Capital）」とほぼ同義で用いられることも多いです。 ### 目的と考え方 企業が抱える様々なリスク（市場、信用、オペレーショナル等）を統合的に評価し、それらが顕在化しても耐えられる資本バッファーを確保するという考え方に基づきます。規制当局が定める規制資本とは別に、企業が自身のリスク評価に基づいて算定・管理します。 ### 算定方法 リスクの種類ごとに、一定の信頼水準で発生しうる最大の損失額（VaRやESなど）を統計モデル等で推定し、それらを合計（リスク間の相関も考慮）して、必要なリスクキャピタル量を算出します。 ### 利用場面 - **リスク管理:** 企業全体のリスク量と資本を比較し、リスクテイクの度合いや資本十分性を評価します。 - **経営判断:** 新規事業等の判断において、要求されるリスクキャピタルと期待リターンを比較検討します（リスク調整後収益性評価）。 - **資本配分:** 各事業部門のリスク量に応じてリスクキャピタルを配分します。 - **自己資本の十分性評価（ICAAP）:** 金融規制当局に対し、リスクに見合った自己資本が十分であるかを説明するプロセスで用います。 リスクキャピタルの管理は、リスクベースでの経営管理の中核的な要素となります。