Risk-Free Asset

### 概要 無リスク資産（Risk-Free Asset）とは、主に現代ポートフォリオ理論（MPT）や資本資産価格モデル（CAPM）などの金融・投資理論において用いられる概念で、その投資元本に対するリターン（収益率）が、将来にわたって完全に確実であり、いかなるリスク（デフォルトリスク、価格変動リスクなど）も伴わないとされる、理論上の資産を指します。そのリターンは「無リスク金利（Risk-Free Rate）」と呼ばれます。 ### 理論上の存在 厳密な意味での無リスク資産は現実には存在しません。どのような資産でも何らかのリスク（インフレリスクなど）は存在します。 ### 現実世界での代理 実務上は、無リスク資産の「代理（Proxy）」として、リスクが極めて低いと考えられる資産が用いられます。一般的には、**信用力の高い主要先進国の短期国債**（例: 米国短期財務省証券 T-Bill）の利回りが、無リスク金利の代理として利用されることが多いです。 ### 利用場面 - **資本資産価格モデル (CAPM):** 期待リターン計算の基礎となります。 - **シャープレシオ:** リスク調整後リターン計算で、超過リターン算出に用いられます。 - **デリバティブ評価:** オプション評価モデルなどで、割引計算の基礎金利として用いられます。 - **投資判断:** リスク資産評価の基準点となります。 無リスク資産（および金利）は、リスクとリターンの関係性を分析するための理論的なベンチマークとして、ファイナンス理論において基本的な役割を果たしています。