Risk Tolerance

### 概要 リスク許容度（Risk Tolerance）とは、組織がその目標を達成する過程において、設定されたリスクアペタイト（組織全体として受け入れるリスクの種類と総量）の範囲内で、個別のリスク事象やリスクカテゴリに対して、具体的にどの程度の変動や逸脱までなら受け入れることができるか、その量的な（あるいは質的な）許容範囲を示すものです。 ### リスクアペタイトとの関係 リスクアペタイトが組織全体の戦略的なリスクに対する姿勢を示すのに対し、リスク許容度は、その方針の下で、具体的なリスク指標（例: 特定の損失額、遅延日数、クレーム件数など）がどれだけ変動することまでを許容するかという、より具体的で運用レベルの基準となります。リスクアペタイトを実現するための運用上の境界線とも言えます。 ### 設定と利用 - **具体的な指標:** 多くの場合、測定可能な指標（KRIなど）に対する具体的な閾値や範囲として設定されます。 - **パフォーマンス管理:** 目標からの乖離やリスク指標の変動が、リスク許容度の範囲内に収まっているかを監視します。 - **意思決定:** 新規事業などの意思決定において、活動がもたらすリスクが許容度の範囲内か確認します。 - **エスカレーション:** リスク指標が許容度を超えそうな場合や超えた場合に、経営層への報告や対応策発動のトリガーとなります。 ### 例 - 「市場リスクによる1日あたりの最大損失額（VaR）は、○○億円以内とする」 - 「システムダウンタイムは、年間△△時間以内とする」 リスク許容度を明確に設定し監視することで、組織はリスクアペタイトで表明されたリスク戦略を一貫して実行し、望まないレベルのリスクを回避することができます。