Structured Note

### 概要 仕組債（Structured Note または Structured Bond）とは、通常の債券（利付債や割引債）に、金利、為替、株価、株価指数、コモディティ価格、信用リスクなどを参照資産とするデリバティブ（主にオプションやスワップ）を組み込むことによって、特定の市場シナリオの下で通常よりも高い利回り（クーポン）を得られる可能性や、償還価額が変動するなど、特殊なキャッシュフローや損益構造を持つように設計された債券の総称です。 ### 仕組みと種類 仕組債は、その設計思想や組み込まれるデリバティブによって非常に多岐にわたります。代表的なものには以下のような種類があります。 - **株価指数連動債（日経平均リンク債など）:** 特定の株価指数が、判定日にあらかじめ定められた範囲内（例: ノックイン・ノックアウト水準）にあれば高いクーポンが支払われ、範囲外に出るとクーポンが低下したり、元本償還額が変動したりするタイプ。 - **デュアルカレンシー債:** 払込み・利払い・償還のいずれか、または複数が、契約通貨とは異なる通貨で行われる債券。 - **EB債（他社株転換可能債）:** 満期時に、発行体の選択により、額面金額の代わりに特定の他社株式で償還される可能性のある債券。 - **コーラブル債（繰上償還条項付債券）:** 発行体が特定の期日以降に任意で繰り上げ償還できる権利を持つ債券。 - **レンジアクルーアル債:** 参照する金利や為替レートなどが、特定の範囲（レンジ）内に収まっている日数に応じてクーポンが支払われる債券。 ### メリット（投資家視点） - **高い利回りの可能性:** 通常の同格付け・同期間の債券よりも高いクーポン（利回り）が設定されていることが多いです。これは、組み込まれたデリバティブのリスクプレミアムが反映されているためです。 - **特定の市場観の反映:** 将来の市場（株価、金利、為替など）に対する特定の予測に基づいて、それに合致した場合に高いリターンが得られるような設計の商品を選択できます。 ### リスクと注意点 仕組債は、その複雑さから通常の債券とは異なる様々なリスクを伴います。 - **複雑性:** 損益構造や価格評価が非常に複雑で、理解が難しい場合があります。 - **市場リスク:** 参照する指標（株価、為替など）の変動によって、クーポンがゼロになったり、元本が額面金額を割り込んで償還されたりする（元本割れ）リスクがあります。 - **早期償還リスク（コーラブル債など）:** 市場金利低下時などに発行体によって繰り上げ償還され、有利な利回りでの運用機会を失うリスク。 - **流動性リスク:** 一般的に流通市場は限定的であり、満期前に売却（換金）することが困難、または大幅な価格下落を伴う可能性があります。 - **発行体の信用リスク:** 通常の債券と同様に、発行体がデフォルトするリスクがあります。 ### 利用場面 主に、金融機関を通じて、特定の市場観を持つ富裕層や、より高い利回りを求める投資家向けに販売されることが多いです。発行体にとっては、通常の債券発行より有利な条件で資金調達できる、あるいは特定のリスクをヘッジできる場合があります。 仕組債への投資は、その複雑な商品性とリスクを十分に理解した上で、慎重に行う必要があります。