Carbon Tax

### 概要 炭素税（Carbon Tax）とは、地球温暖化対策を目的として、二酸化炭素（CO2）の排出、またはその原因となる化石燃料の消費に対して、その炭素含有量やCO2排出量に比例して課される税金です。カーボンプライシングを実現するための、最も直接的な政策手段の一つです。 ### 仕組みと目的 - **課税対象:** 化石燃料の輸入・製造段階や、企業のCO2排出量そのものなどが対象となります。 - **価格シグナル:** 炭素排出に直接コストを課すことで、企業や個人に省エネ、再エネ転換、低炭素製品選択といった排出削減行動を経済的に促します。 - **税収の使途:** 得られた税収の使い道（低所得者層への還付、再エネ導入支援、低炭素技術開発投資、他税減税など）は制度設計の論点です。 ### 排出量取引制度（ETS）との比較 炭素税は政府が**価格（税率）**を直接設定するのに対し、ETSは政府が**排出総量（キャップ）**を設定し、市場で価格が決まる点が異なります。炭素税は価格が安定する一方、削減量が不確実になる可能性があり、ETSはその逆の特性を持つとされます。 ### 導入状況と課題 北欧諸国、カナダ（州レベル）などで導入されています。日本でも類似目的の「地球温暖化対策のための税」があります。導入には、適切な税率設定、産業競争力への影響、家計負担増、国際整合性などが課題となります。 炭素税は、炭素排出コストを内部化し、脱炭素社会への移行を促すための有力な政策オプションの一つです。