Carry Charge

### 概要 キャリーチャージ（Carry Charge）とは、特定の現物資産（特にコモディティ）を、現在の時点から将来の特定の時点まで継続して保有（持ち越す＝キャリーする）ために必要となるコスト（費用）の総称です。「持ち越し費用」や、文脈によっては「保管費用」または「キャリーコスト（Cost of Carry）」とほぼ同義で用いられます。 ### 構成要素 キャリーチャージは、主に以下の要素から構成されます。 - **金利コスト (Interest Cost):** 現物購入資金の調達金利、または機会費用。 - **保管コスト (Storage Cost):** 倉庫賃借料、管理費など。 - **保険料 (Insurance Cost):** 保管中の商品に対する保険費用。 - **その他:** 品質劣化による損失などが含まれる場合もあります。 （※配当や便宜収益といった保有による「収入・便益」は、キャリーコストの文脈では通常マイナス項目として扱われます。） ### 先物価格との関係（コンタンゴ） キャリーチャージは、現物価格と先物価格の関係（期間構造）を説明する上で特に重要です。 「先物価格 ≈ 現物価格 + キャリーコスト（金利+保管費等-収益・便益）」という理論的な関係（キャリーコスト・モデル）があります。 このキャリーコストのうち、金利、保管料、保険料といった「保有にかかる費用（チャージ）」部分がプラスである場合、通常、期先の先物価格は期近よりも高くなります。この状態を「コンタンゴ（順鞘）」と呼び、キャリーチャージが大きいほどコンタンゴの度合いも大きくなる傾向があります。 ### 市場参加者への影響 - **現物保有者:** キャリーチャージは保有コストです。 - **先物トレーダー:** コンタンゴ市場で買いポジションをロールオーバーする場合、キャリーチャージ相当分のコスト（ロールコスト）が発生する可能性があります。 キャリーチャージは、商品先物市場の価格構造（コンタンゴ/バックワーデーション）を理解する上で基本的な概念です。