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綿花は、ワタ属植物の種子を覆う繊維で、世界で最も重要な天然繊維です。吸湿性、通気性、耐久性に優れ、衣料品の主原料となっています。中国、インド、米国が主要生産国で、ICE綿花先物が国際価格指標です。持続可能な栽培への転換と、合成繊維との競争が主要な課題となっています。
綿花(Cotton)は、アオイ科ワタ属の植物から採取される種子繊維で、世界の天然繊維生産の約80%を占める最重要繊維作物です。主要栽培種は、陸地綿(Gossypium hirsutum、全生産の90%)と長繊維綿(G. barbadense、10%)です。繊維は主にセルロース(88-96%)で構成され、吸湿性、通気性、染色性に優れた特性を持ちます。年間生産量は約2,500万トン(繰綿ベース)で、世界の繊維需要の約25%を供給しています。
綿花栽培は、温暖で適度な降水量の地域に適しています。生育期間は180-200日で、気温20-30℃、年間降水量600-1,200mmが理想的です。播種から開花まで約60日、開花から収穫まで約50日を要します。収穫は機械摘み(先進国)と手摘み(途上国)があり、品質に差が生じます。単収は、灌漑農業で800kg/ha以上、天水農業で200-400kg/haと大きな差があります。遺伝子組換え綿(Btコットン)は、害虫抵抗性により収量向上に寄与しています。
綿花の品質は、複数の指標で評価されます。繊維長(ステープル長)は最重要で、短繊維(21mm以下)、中繊維(22-27mm)、長繊維(28-34mm)、超長繊維(35mm以上)に分類されます。繊維強度、マイクロネア(繊維の太さと成熟度)、色調、夾雑物含有率も重要です。米国農務省(USDA)の格付けシステムが国際基準となっています。HVI(High Volume Instrument)により、品質の客観的評価が可能になりました。
綿花市場は、生産と消費の地理的乖離が特徴です。中国(世界生産の22%)、インド(23%)、米国(16%)が主要生産国です。消費は、中国(33%)、インド(20%)、パキスタン、バングラデシュ、ベトナムなどアジアに集中しています。価格は、ICE Futures USの綿花No.2先物(セント/ポンド)が国際指標です。価格形成要因は、中国の在庫政策、インドの最低支持価格、米国の作付面積、ポリエステル価格との競合関係です。
綿花産業は、環境- 社会問題に直面しています。水消費量が多く(1kgの綿花に約10,000リットル)、農薬使用量も農業全体の16%を占めます。児童労働、農民の債務問題も深刻です。対策として、Better Cotton Initiative(BCI)、オーガニックコットン、フェアトレード認証が推進されています。節水技術、総合的病害虫管理(IPM)、精密農業の導入により、環境負荷低減が図られています。リサイクル綿、再生セルロース繊維との組み合わせも進んでいます。
コットン, 木綿(もめん)