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羊毛は、羊から採取される動物繊維で、保温性、吸湿性、難燃性に優れた高級天然繊維です。オーストラリア、中国、ニュージーランドが主要生産国で、メリノ種が最高品質とされます。衣料品、寝具、カーペットに使用され、環境配慮と動物福祉の観点から、持続可能な生産への転換が進められています。
羊毛(Wool)は、羊の体毛から得られる動物繊維で、人類が最も古くから利用してきた天然繊維の一つです。主にメリノ種、コリデール種、ロムニー種などから採取されます。ケラチンタンパク質で構成され、独特のクリンプ(縮れ)構造により、優れた保温性、吸湿性、弾力性を持ちます。難燃性、防臭性、紫外線遮蔽性も備えています。年間生産量は約110万トン(クリーンベース)で、全繊維生産の約1%を占める高級繊維です。
羊毛生産は、年1-2回の毛刈り(シアリング)により行われます。一頭あたりの産毛量は3-6kgで、品種、飼養管理、環境により異なります。品質は繊維径により分類され、スーパーファイン(18.5μm以下)、ファイン(18.5-24μm)、ミディアム(24-31μm)、ストロング(31μm以上)に区分されます。メリノウールは最高品質で、繊維径16-24μmの極細繊維です。クリンプ数、繊維長、色調、夾雑物も品質指標となります。
オーストラリアが世界最大の羊毛生産- 輸出国(全生産の約25%、輸出の70%)で、メリノウールの90%を供給します。中国は第2位の生産国ですが、品質は中級です。ニュージーランドは、ストロングウール(カーペット用)に特化しています。南アフリカ、アルゼンチン、ウルグアイも重要産地です。消費は中国が世界の40%を占め、イタリア、インド、日本が続きます。オーストラリアン- ウール- エクスチェンジ(AWEX)が価格指標を提供しています。
羊毛加工は、複雑な工程を経ます。選毛、洗毛により脂質(ラノリン)と不純物を除去します。カーディング、コーミングにより繊維を整え、紡績で糸にします。織物または編物に加工後、仕上げ加工(縮絨、起毛)により独特の風合いが生まれます。用途は、衣料品(スーツ、セーター、コート)が60%、インテリア(カーペット、寝具)が30%、産業資材が10%です。高級アパレル市場では、Super120’s以上の極細番手が評価されています。
羊毛産業は、多くの課題に直面しています。合成繊維との価格競争、若年層の天然繊維離れ、気候変動による放牧地の劣化が問題です。動物福祉の観点から、ミュールシング(皮膚切除)への批判が高まっています。対策として、Responsible Wool Standard(RWS)による認証、トレーサビリティの確保、非ミュールシング羊毛の推進が進んでいます。機能性加工(防縮、撥水)による付加価値向上、メリノウールのスポーツウェア展開、生分解性の訴求により、新市場開拓が図られています。
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