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古代から利用される重金属で、現在は主に鉛蓄電池(自動車バッテリー)の原料として使用されるベースメタルです。優れた遮蔽性、耐食性、加工性を持ちますが、毒性があるため取り扱いには注意が必要で、リサイクル率が最も高い金属の一つです。
鉛(Lead)は、原子番号82、元素記号Pbで表される金属元素です。元素記号はラテン語の「Plumbum(プルンブム)」に由来します。青みがかった灰色の金属で、非常に軟らかく、ナイフで簡単に切ることができます。
人類が古くから利用してきた金属の一つで、古代ローマ時代には水道管や食器に使用されていました。現在では、その毒性が認識され、用途は限定的ですが、鉛蓄電池を中心に産業上重要な金属です。
主要な特性:
鉛の特徴は、高密度でありながら軟らかく加工しやすいこと、そして放射線(X線、ガンマ線)を効果的に遮蔽する能力です。また、表面に緻密な酸化被膜を形成し、それ以上の腐食を防ぐ性質があります。
鉛蓄電池(需要の約85%)
鉛の最大用途は充電可能な二次電池です:
その他の用途(需要の約15%)
主要生産国(2023年データ):
世界の鉛鉱山生産量は年間約450万トンですが、精錬鉛生産量は約1,200万トンで、その差はリサイクル鉛で賄われています。
鉱石と精錬:
主要鉱石は方鉛鉱(PbS)で、通常は亜鉛、銀と共に産出します。精錬は焼結-溶鉱炉法または直接製錬法で行われます。
鉛は金属の中で最もリサイクル率が高く、世界の鉛供給の約60%がリサイクル由来です:
高リサイクル率の理由:
鉛蓄電池のリサイクル率は先進国で95%以上に達し、「循環型社会の優等生」と呼ばれています。
鉛は人体に有害な重金属で、特に神経系への影響が深刻です:
健康影響:
規制と対策:
鉛はLME(ロンドン金属取引所)で取引されています:
価格変動要因:
鉛蓄電池の進化:
代替技術:
鉛需要は鉛蓄電池に大きく依存し、当面は安定的な需要が見込まれます:
需要継続要因:
課題と機会:
鉛は毒性という課題を抱えながらも、高いリサイクル性と確立された循環システムにより、持続可能な形で産業を支え続けると予想されています。
非鉄金属
鉄や鉄合金以外のすべての金属を指す総称です。銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、ニッケル、錫といったベースメタルや、金、銀などの貴金属が含まれます。工業製品から日用品まで、私たちの生活に不可欠な材料となっています。
チタン
原子番号22の元素(Ti)で、遷移金属の一つです。軽量(鉄の約60%)でありながら強度が高く、特に耐食性(特に海水に対する)に極めて優れています。航空宇宙、化学プラント、医療、スポーツ用品などに利用されます。
亜鉛
鉄鋼の防錆めっき(亜鉛めっき)の主原料として重要なベースメタルです。建設・自動車産業で大量に消費され、黄銅などの合金材料、電池材料、化学工業原料としても幅広く使用されます。人体必須微量元素でもあります。
モリブデン
特殊鋼や超合金の添加元素として重要なレアメタルです。高温強度と耐食性を大幅に向上させる効果があり、ステンレス鋼、工具鋼、石油精製触媒などに使用されます。銅の副産物として生産され、チリと中国が主要生産国です。
ベースメタル(卑金属)
ベースメタル(Base Metals)は、貴金属以外の産業用金属の総称で、銅・アルミ・亜鉛などが代表例です。世界の製造業や建設業を支える基礎材料として大量に消費されています。景気動向を反映しやすく、経済の先行指標としても注目される金属群です。
コバルト
リチウムイオン電池の正極材として急速に需要が拡大している戦略的レアメタルです。コンゴ民主共和国に生産が集中し、供給リスクが高い一方、EVバッテリーの性能向上に不可欠で、超合金や触媒としても重要な役割を果たします。
リチウム
最も軽い金属元素で、リチウムイオン電池の主要材料として電気自動車(EV)革命の中核を担う戦略的金属です。主に塩湖かん水と鉱石から生産され、需要が急速に拡大している一方、供給開発には時間がかかるため、価格変動が激しい特徴があります。