後入先出法(Last In First Out)は、最も新しい在庫から順に払い出す管理方法です。インフレ時に税務上有利となりますが、国際会計基準では認められていません。建材や鋼材など劣化しにくい商品で採用されます。
LIFO(Last In First Out、後入先出法)は、最も新しい在庫から順番に払い出す在庫管理方法です。「最後に入庫したものを最初に出庫する」という原則に基づき、物理的には実施が困難な場合も多いため、主に会計上の在庫評価方法として使用されます。建材、鋼材、石炭など、品質劣化が少ない商品や、積み重ね保管される商品で採用されることがあります。
物理的なLIFOは、上から積み重ねて上から取り出す方式で実現されます。サイロ、ホッパー、パレットの積み重ねなどがその例です。ただし、多くの場合、物理的な在庫の流れとは関係なく、会計上の評価方法としてのみLIFOを採用します。この場合、実際の在庫管理はFIFOや他の方法で行いながら、原価計算のみLIFO方式を適用します。
建設資材:砂利、砂、セメントなど、品質が安定している商品で使用されます。
鉄鋼業:鋼板、鋼材などの積み重ね保管で、上から使用する場合に適用されます。
石炭- 鉱物:野積み保管される商品で、新しく積まれたものから使用されます。
化学原料:品質が安定しており、保管方法により自然にLIFOとなる場合があります。
非腐敗性商品:プラスチック原料、金属材料など、経年劣化しない商品に適しています。
LIFOの会計上の最大の特徴は、インフレ時に税務上有利になることです。最新の(高い)仕入価格が売上原価となるため、利益が圧縮され、法人税が軽減されます。ただし、国際会計基準(IFRS)では2003年以降LIFOは認められておらず、米国会計基準(US GAAP)でのみ使用可能です。日本でも税法上は認められていません。
税務メリット:インフレ時には売上原価が高くなり、課税所得を減少させます。
キャッシュフロー改善:税金の支払いが減少し、キャッシュフローが改善されます。
物理的な効率性:積み重ね保管では、LIFOが最も効率的な場合があります。
操作の簡便性:上から取り出すだけなので、作業が単純です。
最大の課題は、古い在庫が底に滞留し、品質劣化のリスクがあることです。また、在庫評価額が実勢価格と乖離し、財務諸表の比較可能性が損なわれます。LIFO清算(古い安い在庫を払い出すこと)により、利益が人為的に操作される可能性もあります。これらの理由から、多くの国でLIFOの使用が制限されています。
FIFOと比較すると、LIFOは品質管理の観点では劣りますが、特定の状況では効率的です。平均法(加重平均法)は、FIFOとLIFOの中間的な効果を持ち、価格変動の影響を平準化します。企業は、商品特性、税制、会計基準を総合的に考慮して、最適な方法を選択する必要があります。
国際的な会計基準の統一化により、LIFOの使用は減少傾向にあります。米国でもIFRSへの移行議論の中で、LIFOの廃止が検討されています。一方、物理的な在庫管理としてのLIFOは、特定の商品や保管方法において、依然として合理的な選択肢となっています。
LIFOは、特定の状況下で効率的な在庫管理方法ですが、品質管理や会計基準の観点から制限があります。税務上のメリットは大きいものの、国際的にはFIFOや平均法への移行が進んでいます。商品特性と規制要件を慎重に評価し、適切な場面でのみ採用すべき方法と言えます。
繰越在庫
繰越在庫は、期末時点で翌期に持ち越される在庫です。農産物では収穫期から次の収穫期までの供給を支え、価格安定化に寄与します。適切な繰越水準の維持は、市場の需給バランス調整に重要な役割を果たします。
サイロ保管
サイロ保管は、穀物、セメント、飼料などのバルク商品を縦型円筒形施設で保管する方法です。重力を利用した入出庫、温湿度管理、害虫防除システムにより、大量の農産物や原材料を長期間安全に保管できます。
物流センター
物流センターは、商品の保管、仕分け、流通加工、配送を統合的に行う物流拠点です。在庫管理システム、自動倉庫、ピッキングシステムを活用し、サプライチェーンの効率化とリードタイム短縮を実現します。
先入先出法
先入先出法(First In First Out)は、最も古い在庫から順に払い出す管理方法です。食品や医薬品など使用期限がある商品に適し、品質劣化リスクを最小化します。会計上も実際の物の流れと一致する自然な評価方法です。
保管料
保管料は、倉庫や保管施設の利用に対して支払う料金です。容積または重量ベースで計算され、保管期間、温度管理、取扱い作業などにより変動します。長期契約により単価を下げることが可能で、物流コスト管理の重要要素です。
緩衝在庫
緩衝在庫は、生産工程や流通過程で発生する変動を吸収するための在庫です。季節変動、生産能力制約、輸送の不確実性に対応し、サプライチェーン全体の安定性を確保します。戦略的備蓄の役割も果たします。
無料保管期間
無料保管期間(フリータイム)は、港湾や倉庫で貨物を無料で保管できる期間です。通常5-7日間設定され、この期間内に貨物を引き取れば追加料金は発生しません。効率的な物流計画により費用削減が可能です。