Rabi Season

ラビ期

ソフトコモディティ

「ラビ期」とは、主にインド亜大陸で用いられる農業の季節区分(栽培暦)の名称です。具体的には、冬(10月~12月頃)に種まきを行い、翌年の春(3月~5月頃)に収穫するまでの栽培期間全体を指します。この時期に栽培される小麦、菜種、豆類などの作柄は、世界のコモディティ需給に影響を与えるため注目されます。

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### 概要 ラビ期(Rabi Season)とは、主にインド、パキスタン、バングラデシュといったインド亜大陸の国々で用いられる農業暦における季節区分の一つです。具体的には、モンスーン(雨季)が明けた後の冬期(通常10月~12月頃)に種まきが行われ、春から初夏(通常3月~5月頃)に収穫される作物の栽培期間を指します。夏のモンスーン期に栽培されるカリフ期(Kharif Season)と対をなす重要な農業シーズンです。 ### 主なラビ作物とその重要性 ラビ期に栽培される代表的な作物には以下のようなものがあります。 - **小麦 (Wheat):** インドは世界有数の小麦生産国・消費国であり、ラビ期はその主要栽培シーズンです。 - **大麦 (Barley):** 飼料用や一部食用。 - **菜種・マスタード (Rapeseed/Mustard):** インドは主要生産国で、国内の食用油供給に不可欠です。 - **豆類 (Pulses):** ひよこ豆、レンズ豆など。インドは世界最大の豆類の生産・消費・輸入国であり、国民にとっては重要なタンパク質源となっています。 ### なぜコモディティ取引で注目されるのか? 日本に住んでいると直接的な影響を感じにくいかもしれませんが、ラビ期が世界のコモディティ市場(特に農産物)で注目される理由は、インド亜大陸の巨大な人口と経済規模にあります。 - **世界の需給への影響:** インドはこれらのラビ作物の巨大な生産国かつ消費国です。ラビ期の作柄(豊作か不作か)はインド国内の需給を大きく左右し、その影響がインドの輸出余力や輸入必要量に変化をもたらすことがあります。その結果、世界の小麦、豆類、植物油などの需給バランスや国際価格に波及する場合があります。たとえば、インドの小麦が不作になれば、インドが国際市場で小麦を大量に買い付ける可能性が高まり、世界の小麦価格の上昇要因となりえます。 - **価格変動要因:** ラビ期の天候(冬の気温、降水量、灌漑用水の状況)や収穫期の状況は、これらの作物の生産量予測に直結し、シカゴ市場の小麦先物など、国際的なコモディティ価格の変動を引き起こす要因となります。 - **政府政策の影響:** インド政府などがラビ作物に対して設定する最低支持価格(MSP)、政府による買い上げ量、輸出入に関する政策(関税、輸出禁止など)は、国内価格だけでなく国際価格にも影響を与えるため、市場参加者はその動向を注視しています。 - **経済への影響:** 農業はインド経済において依然として重要な位置を占めており、ラビ期の収穫状況は農村部の所得や消費に影響し、さらに国全体の経済成長やインフレ率にもつながる可能性があります。 ### 日本への間接的な影響 日本がインドからラビ作物を直接大量に輸入することは少ないかもしれません。しかし、インドの不作などで世界の穀物需給が逼迫し国際価格が上昇すれば、日本が他の国から輸入する小麦や飼料原料の価格にも波及する可能性があります。このように、グローバル化されたコモディティ市場においては、一見遠い地域の農業サイクルも無視できない要因となるのです。 ラビ期は、インド亜大陸という巨大な生産・消費地域の農業サイクルとして、関連するコモディティの国際市場を分析する上で見過ごせない要素となっています。
関連用語
Kharif Season

カリフ期

「カリフ期」とは、主にインド亜大陸で用いられる農業の季節区分(栽培暦)の名称です。具体的には、夏のモンスーン期(6月~7月頃)に種まきを行い、秋(9月~10月頃)に収穫する期間を指します。この時期に栽培される米、綿花、大豆などの作柄はモンスーンの影響を強く受け、世界のコモディティ需給に影響を与えます。

参考文献

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