RAROC

### 概要 RAROC（ラロック、Risk-Adjusted Return On Capital）とは、主に銀行などの金融機関において、特定の事業部門、商品、取引、あるいは顧客などが生み出す収益（リターン）を、その収益を獲得するために負担しているリスクの大きさ（＝それに見合うべき資本、すなわちリスクキャピタルまたは経済資本）で割り引いて評価する、リスク調整後の収益性（パフォーマンス）測定指標です。「リスク調整後自己資本利益率」などと訳されます。 ### 計算式の考え方 基本的な計算式の考え方は以下の通りです（定義は金融機関ごとに異なる場合があります）。 RAROC = (期待収益 - 期待損失 - 業務コスト) / リスクキャピタル（経済資本） - **分子:** リスクを考慮した実質的な利益。 - **分母:** その事業や取引を行う上で備えておくべき資本（リスクキャピタル）。 ### 目的と利用 RAROCは、「取っているリスクに見合ったリターンを上げているか」という、**リスク対比での収益性（リスク・リターン効率）**を評価することを目的としています。 - **パフォーマンス評価:** 事業部門や個別取引等の収益性を、リスク考慮後の統一尺度で評価・比較します。 - **経営資源（資本）配分:** RAROCと資本コスト等を比較し、リスクキャピタルをどの事業に配分すべきかの意思決定に利用します。 - **価格設定:** 融資等の価格設定において、リスクに見合ったリターンが確保できるかの判断基準とします。 ### 他の指標との関係 RAROCは、リスク調整後リターン指標（シャープレシオ等）や、EVA（経済的付加価値）といった他のパフォーマンス評価指標とも関連する考え方です。 RAROCの活用により、金融機関などはリスクを意識した経営管理をより高度化できます。ただし計算は複雑なリスク計量モデルに依存します。