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SBTiは、企業の温室効果ガス削減目標を科学的根拠に基づいて設定・認証する国際イニシアチブです。パリ協定の目標達成に向けて、1.5℃目標に整合した削減経路を提供し、企業の気候変動対策を推進します。認証取得は、ESG投資の評価向上と競争優位性の確保につながります。
SBTi(Science Based Targets initiative、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ)は、企業が設定する温室効果ガス(GHG)削減目標を、最新の気候科学に基づいて検証- 認証する国際的な枠組みです。2015年にCDP、国連グローバル- コンパクト、WRI、WWFの4団体により設立され、パリ協定の目標(産業革命前比1.5℃~2℃未満の気温上昇抑制)達成に必要な削減経路に、企業の目標を整合させることを目的としています。
SBTiは、厳格な科学的基準に基づく目標設定を要求します。スコープ1(直接排出)とスコープ2(電力等の間接排出)については、最低5年、最長10年の短期目標設定が必須です。スコープ3(サプライチェーン排出)が全体の40%以上を占める場合は、スコープ3目標も必要となります。セクター別脱炭素化アプローチ(SDA)や絶対量削減方式により、業界特性を考慮した目標設定が可能です。2050年までのネットゼロ目標設定も推奨されています。
SBTi認証は、段階的なプロセスを経て取得されます。まず、コミットメントレターを提出し、24ヶ月以内に目標を設定します。目標案は、SBTiの技術専門家により、基準適合性、野心度、実現可能性の観点から審査されます。認証後は、年次での進捗報告と、少なくとも5年ごとの目標見直しが求められます。認証費用は企業規模により異なり、中小企業向けの簡略化されたルートも用意されています。
SBTi認証は、企業に多面的な価値をもたらします。投資家からの評価向上により、ESG投資の呼び込みと資本コスト低減が期待できます。顧客企業のサプライチェーン要求への対応、ブランド価値向上、規制リスクの先取り対応が可能となります。イノベーション促進、エネルギー効率改善によるコスト削減、従業員エンゲージメント向上などの内部価値も生まれます。CDP、TCFD、各種ESG評価での高評価にもつながります。
SBTiは、商品市場にも大きな影響を与えています。認証企業の増加により、再生可能エネルギー、カーボンクレジット、グリーン素材への需要が拡大しています。サプライチェーン全体での削減要求により、低炭素商品のプレミアム化が進んでいます。金融機関のSBTi参加により、化石燃料関連投融資の制限と、グリーンファイナンスの拡大が加速しています。今後は、土地利用セクター(FLAG)目標、生物多様性目標との統合、新興国企業の参加拡大などが課題となっています。
["Science Based Targets initiative","科学と整合した目標設定"]
炭素取引
Carbon Tradingは、温室効果ガスの排出権を取引する市場取引制度です。企業や国が排出削減目標を達成するため、排出権の売買を行い、環境負荷の低減と経済的効率性を両立させます。京都議定書やパリ協定に基づき、世界的に導入が進む環境配慮型の取引システムとなっています。
スコープ1排出量
企業が直接的に排出する温室効果ガス。自社の施設や車両からの排出が対象で、最も直接的に管理可能な排出量。温室効果ガス排出量の算定・報告における基本項目。
スコープ2排出量
企業が間接的に排出する温室効果ガス。電力や熱の購入による排出が対象で、エネルギー供給者との協力により削減可能。企業の気候変動対策における重要な管理項目。
炭素国境調整
炭素国境調整は、国内で炭素価格を課している国が、炭素価格を課していない国からの輸入品に対して炭素税を課す制度です。炭素リーケージを防ぎ、国際的な気候変動対策の公平性を確保します。商品取引では、国際貿易における環境規制と競争力の調整において重要な制度です。
環境・社会・ガバナンス
企業が長期的に成長するために配慮すべきとされる、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの側面を示す言葉です。ESGを重視する投資(ESG投資)が世界的に拡大しています。
ネットゼロ目標
ネットゼロ目標は、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出量をゼロにすることを目指す環境目標です。気候変動対策の重要な要素として、企業や政府が設定し、持続可能な社会の実現を目指します。商品取引では、ESG投資とサステナビリティ管理において重要な環境目標です。
ICMM(国際鉱業金属評議会)
ICMM(国際鉱業金属評議会)は、世界の主要鉱業・金属会社が加盟する業界団体です。持続可能な開発原則に基づく責任ある鉱業慣行の普及を目指し、商品サプライチェーンの環境・社会基準向上において中心的役割を果たしています。