Tokyo Stock Exchange

東京証券取引所（Tokyo Stock Exchange、略称：TSE、東証）は、日本取引所グループ傘下の現物株式市場を運営する中核的な証券取引所です。1878年に東京株式取引所として設立され、140年以上の歴史を持つアジア最古の証券取引所の一つです。現在は世界第3位の時価総額を誇る国際的な株式市場として、日本経済の発展と企業の資金調達を支えています。

市場区分と上場基準

2022年4月、東京証券取引所は市場区分を再編し、新たに3つの市場を設けました。プライム市場は、グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場で、時価総額100億円以上、流通株式時価総額100億円以上などの厳格な基準が設定されています。スタンダード市場は、公開された市場における投資対象として十分な流動性とガバナンス水準を備えた企業向けの市場です。グロース市場は、高い成長可能性を有する企業向けの市場で、新興企業やベンチャー企業の上場を促進しています。

主要指数と市場動向

東京証券取引所の代表的な株価指数として、日経平均株価（日経225）とTOPIX（東証株価指数）があります。日経平均株価は、東証プライム市場上場銘柄から選定された225銘柄の株価平均指数で、日本株式市場の動向を示す最も注目される指標です。TOPIXは、東証プライム市場の全銘柄を対象とした時価総額加重型の指数で、市場全体の動きを表します。これらの指数は、国内外の投資家の投資判断やデリバティブ取引の基準として広く利用されています。

取引制度と売買システム

東京証券取引所は、高度な電子取引システムarrowheadを採用しています。このシステムは、1日あたり数億件の注文を処理する能力を持ち、注文受付から約定通知まで1ミリ秒以下の超高速処理を実現しています。取引時間は、前場が9:00-11:30、後場が12:30-15:00で、この間にザラ場取引が行われます。また、ToSTNeT市場では、立会時間外の大口取引や自己株式取得などの取引が可能です。値幅制限制度、サーキットブレーカー制度など、市場の安定性を保つための各種制度も整備されています。

国際化と外国企業上場

東京証券取引所は、市場の国際化を積極的に推進しています。外国企業の上場も受け入れており、プロ向け市場であるTOKYO PRO Marketでは、より柔軟な上場基準で外国企業の参入を促進しています。英文開示の充実、決算短信の英文提供の推進、海外投資家向けIR活動の支援など、グローバル投資家の利便性向上にも取り組んでいます。また、ETF（上場投資信託）やREIT（不動産投資信託）市場も発展しており、多様な投資商品を提供しています。

ESGとサステナビリティ

東京証券取引所は、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。ESG投資の普及促進、グリーンボンド- ソーシャルボンドの上場支援、TCFD提言に基づく気候関連情報開示の推進など、サステナブルファイナンスの発展に貢献しています。コーポレートガバナンス- コードの策定と改訂を通じて、上場企業のガバナンス水準の向上を図り、中長期的な企業価値向上を支援しています。また、女性活躍推進やダイバーシティの観点から、なでしこ銘柄の選定なども行っています。