Yttrium

概要

イットリウム（Yttrium）は、原子番号39、元素記号Yで表される金属元素です。周期表ではスカンジウム（Sc）やランタノイドの下に位置し、化学的性質がランタノイド（特に重希土類）と非常によく似ているため、希土類元素（レアアース）の一つとして扱われることが一般的です（ただし厳密にはランタノイドではありません）。銀白色の金属で、空気中では比較的安定です。スウェーデンのイッテルビー（Ytterby）村で発見されました。

主な用途

• 蛍光体: 酸化イットリウム（Y2O3）やバナジン酸イットリウム（YVO4）にユウロピウム（Eu）を添加した赤色蛍光体は、かつてカラーテレビのブラウン管（CRT）に不可欠な材料でした。現在でもLED照明やディスプレイなどで、蛍光体の母材や添加剤として利用されています。
• レーザー結晶: イットリウム- アルミニウム- ガーネット（YAG）にネオジム（Nd）やエルビウム（Er）、ホルミウム（Ho）などを添加した結晶（Nd:YAG, Er:YAG, Ho:YAG）は、固体レーザーの発振媒体として、工業用（加工）、医療用、計測用などに広く利用されています。
• 超電導材料: イットリウム系の高温超電導体（YBCO: Yttrium Barium Copper Oxide）は、液体窒素温度で超電導を示す材料として注目され、研究開発が進められています。
• 合金添加剤: アルミニウム合金やマグネシウム合金に添加すると、強度や耐熱性が向上します。また、クロム、モリブデンなどとの合金では耐酸化性を高めます。
• その他: セラミックス（YAG、ジルコニア安定化剤 YSZ）、触媒、電子レンジ用マイクロ波フィルター（YIG: イットリウム鉄ガーネット）、原子炉材料、ガスランプの白熱灯（ガスマントル）など。

資源と市場

他の希土類元素と共に、モナザイト、ゼノタイム、イオン吸着鉱などの鉱石から産出されます。特に重希土類鉱石中に多く含まれます。需要は蛍光体、レーザー、セラミックスなど多岐にわたり、希土類市場全体の動向の影響を受けます。

イットリウムは、希土類元素として、発光材料やレーザー材料など多くの先端技術分野で重要な役割を果たしています。