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オプションの買い手が権利行使をした場合、取引所がオプションの売建玉を指定すること。
割当(Assign)とは、オプション取引において、オプションの買い手が権利行使を行った場合に、取引所が同じ銘柄・同じ権利行使価格・同じ満期のオプション売建玉の中から、権利行使に対応する売り手を選定・指定する手続きのことです。オプションの売り手は、権利行使が発生した場合に原資産の売買を実行する義務を負っているため、この割当システムにより売り手の義務履行が確実に行われます。割当は取引所が管理する公平で透明性の高いシステムにより実行されます。
オプションの割当は、通常、取引所の清算機関によって自動的に実行されます。権利行使の通知を受けた取引所は、該当するオプション契約の売建玉保有者の中から、事前に定められた方法(通常はランダム選択、先入先出法、比例配分法など)により割当対象者を決定します。割当が決定されると、選ばれた売り手には割当通知(Assignment Notice)が送付され、通常は翌営業日までに原資産の受渡しまたは現金決済を行う義務が発生します。この手続きにより、オプション市場の決済が円滑に実行されます。
商品先物オプション取引では、割当は現物受渡しまたは先物ポジションの設定という形で実行されます。例えば、金先物オプションのコールオプションで割当が発生した場合、売り手は買い手に対して金先物の売りポジションを提供する義務を負います。農産物オプションでは、収穫期に近い限月での割当により、実際の商品流通に影響を与える場合があります。エネルギー商品では、原油やガソリンなどの先物オプションで割当が発生すると、物理的な供給契約に影響を及ぼす可能性があるため、商品生産者や消費者は割当リスクを慎重に管理する必要があります。
オプションの売り手にとって、割当は重要なリスク要因となります。割当が発生すると、売り手は市場価格に関係なく、契約で定められた価格で取引を実行する義務を負います。特に、大きくイン・ザ・マネーのオプションでは、割当により大きな損失が発生する可能性があります。また、割当のタイミングは売り手が制御できないため、ポジション管理や資金計画に影響を与えます。一方、買い手にとっては、割当により確実に権利行使の利益を実現できるメリットがあります。市場参加者は、割当確率や割当による影響を事前に評価し、適切なリスク管理を行う必要があります。
割当が発生する確率は、オプションのマネネス(イン・ザ・マネーの程度)、満期までの残存期間、配当や金利などの要因により決まります。深くイン・ザ・マネーのオプションほど権利行使される可能性が高く、したがって割当確率も高くなります。また、満期日が近づくにつれて、時間価値の減少により権利行使が発生しやすくなります。商品オプションでは、季節性や需給要因、貯蔵コストなども割当確率に影響を与えます。投資家は、これらの要因を総合的に判断して、割当リスクを管理する必要があります。
割当に関連する重要な制度として、権利行使通知(Exercise Notice)、割当通知(Assignment Notice)、清算・決済システムがあります。また、早期権利行使(Early Exercise)が可能なアメリカンスタイルオプションでは、満期前でも割当が発生する可能性があります。関連用語としては、権利行使(Exercise)、売建玉(Short Position)、買建玉(Long Position)、イン・ザ・マネー(In-The-Money)、満期日(Expiration Date)、清算機関(Clearing House)、証拠金(Margin)などがあります。
実務において割当リスクを管理するには、売建玉の監視と適切なタイミングでの買戻しが重要です。特に、満期日が近づき、オプションが深くイン・ザ・マネーになった場合は、割当確率が急激に高まるため注意が必要です。具体例として、原油先物のプットオプション(権利行使価格70ドル)を売建している投資家が、原油価格が65ドルまで下落した場合、割当により70ドルで原油を購入する義務が発生する可能性が高まります。この場合、損失を限定するために事前に買戻しを検討することが重要です。また、企業のヘッジ戦略では、割当による現物受渡しが事業に与える影響を事前に評価し、必要に応じて現金決済型のオプションを選択することも有効です。
ノックアウトオプション
原資産価格が特定の価格水準(バリア)に一度でも到達すると、オプションの権利が消滅するタイプのバリアオプションです。バリアに到達しなければ、権利は有効なままです。
ルックバックオプション
オプション期間中の最も有利な原資産価格(最高値または最安値)を権利行使価格として利用できるエキゾチックオプションです。保有者にとって常に最良の価格で権利行使できる特徴があります。
自動権利行使
権利行使期間内に権利行使の申出がなかったイン・ザ・マネーのオプションについて、権利放棄の意志表示がない限り、自動的に権利行使があったものとして取り扱う制度。
ノックインオプション
原資産価格が特定の価格水準(バリア)に一度でも到達すると、オプションの権利が発生(有効化)するタイプのバリアオプションです。バリアに到達しない限り、権利は発生しません。