Bonded Warehouse

基本概念

保税倉庫（Bonded Warehouse）は、外国貨物を関税の支払いを保留したまま保管できる、税関の許可を受けた特別な施設です。輸入貨物は通常、陸揚げ後直ちに関税を支払う必要がありますが、保税倉庫を利用することで、最長2年間（延長により3年間）まで関税の支払いを延期できます。この制度により、輸入者は資金繰りの改善と在庫コストの削減を実現できます。

保税倉庫の種類

指定保税地域：税関が指定する特定の地域で、主に港湾や空港に設置されています。

保税蔵置場：民間企業が運営する保税倉庫で、特定の貨物の長期保管に適しています。

保税工場：外国貨物を原材料として製造- 加工を行う施設で、加工貿易に利用されます。

保税展示場：国際見本市や展示会用の貨物を保税状態で展示できる施設です。

総合保税地域：貿易振興を目的とした大規模な保税地域で、保管、加工、展示などが可能です。

利用のメリット

保税倉庫の最大のメリットは、キャッシュフローの改善です。高額な関税の支払いを、実際に貨物を国内市場に出荷するまで延期できるため、資金効率が大幅に向上します。また、再輸出する場合は関税が免除されるため、中継貿易や三国間貿易のハブとして活用できます。市場動向を見ながら、国内販売か再輸出かを選択できる柔軟性も大きな利点です。

保管可能な作業

保税倉庫内では、単なる保管だけでなく、一定の作業も認められています。見本の展示、簡単な加工（ラベル貼付、小分け、詰め替え）、点検、修理などが可能です。ただし、これらの作業には税関の許可が必要で、作業内容によっては保税工場の許可が必要となる場合があります。

在庫管理と記帳義務

保税倉庫の管理者は、厳格な在庫管理と記帳義務を負います。貨物の搬入- 搬出、在庫状況を正確に記録し、税関の検査にいつでも対応できる体制を維持する必要があります。在庫差異が発生した場合は、関税と消費税の納付義務が生じる可能性があるため、精密な管理システムの導入が不可欠です。

国際物流での活用

保税倉庫は、グローバルサプライチェーンの重要な結節点として機能しています。VMI（Vendor Managed Inventory）では、サプライヤーが保税倉庫に在庫を保管し、バイヤーの需要に応じて迅速に供給します。また、FTZ（Free Trade Zone）と組み合わせることで、国際的な物流ハブとしての機能を強化できます。

まとめ

保税倉庫は、関税の支払い延期と再輸出時の免税という税制上のメリットを活用し、企業の資金効率と物流柔軟性を高める重要な施設です。適切に活用することで、在庫コストの削減、キャッシュフローの改善、国際競争力の強化を実現できます。