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オプションのスプレッド取引手法の一つで、同じ期日で3通りの権利行使価格のオプションを組み合わせる。
バタフライ・スプレッド(Butterfly Spread)とは、オプションのスプレッド取引手法の一つで、同じ期日で3通りの権利行使価格のオプションを組み合わせる戦略です。中央の権利行使価格を2単位売り、両側の権利行使価格を1単位ずつ買う構成が基本形で、蝶の羽のような損益図になることからこの名前が付けられました。限定されたリスクで、特定の価格レンジ内での利益を狙う中立的な戦略として、ボラティリティが低下すると予想される場面で効果的です。
バタフライ・スプレッドは、1970年代のオプション市場発展とともに開発された古典的な戦略の一つです。1973年のシカゴ・オプション取引所(CBOE)設立後、複数のオプションを組み合わせた複合戦略への関心が高まりました。
当初は機関投資家や専門トレーダーが使用していましたが、1980年代以降の個人投資家のオプション取引参加拡大とともに、リスク限定型の戦略として広く知られるようになりました。コンピュータ技術の発達により、複雑な損益計算が容易になったことも普及を後押ししました。
ロング・バタフライ・スプレッドは基本形で、ATM(アット・ザ・マネー)付近の権利行使価格を売り、上下の権利行使価格を買います。ボラティリティ低下を狙う戦略です。
ショート・バタフライ・スプレッドは逆の構成で、中央を買い、両側を売ります。ボラティリティ上昇を狙いますが、リスクは限定的ではありません。
コール・バタフライはコール・オプションのみで構成し、プット・バタフライはプット・オプションのみで構成します。アイアン・バタフライはコールとプットを組み合わせて構成します。
等間隔設定が最も一般的で、例えば90-100-110のように等間隔で権利行使価格を設定します。この場合、100を2単位売り、90と110を1単位ずつ買います。
不等間隔設定では、相場観に応じて間隔を調整します。上昇バイアスがある場合は95-100-110のように設定し、利益ゾーンを上方にシフトさせます。
権利行使価格の幅により、最大利益と最大損失、損益分岐点が決まります。幅が狭いほど利益率は高くなりますが、利益ゾーンも狭くなります。
最大利益は中央の権利行使価格で株価が満期を迎えた場合に実現されます。利益額は「権利行使価格の間隔 - 支払ったプレミアム純額」となります。
最大損失は支払ったプレミアム純額に限定されます。株価が上下の権利行使価格を大きく超えて変動した場合に発生します。
損益分岐点は2つあり、「下側権利行使価格 + 支払プレミアム」と「上側権利行使価格 - 支払プレミアム」となります。
低ボラティリティ予想では、大きな価格変動がなく、株価が一定レンジ内で推移すると予想される場合に効果的です。決算発表後や重要イベント通過後などが典型的な場面です。
時間価値の収穫では、満期までの時間経過により、売建てしたATMオプションの時間価値減衰から利益を得ることができます。
方向性の不確実性では、上昇・下落の方向が読めないが、大きな変動はないと予想される場合に適用されます。
デルタは中央の権利行使価格付近でほぼゼロとなり、方向性リスクが限定的です。株価が中央から離れるにつれてデルタが発生します。
ガンマは中央で負の値を持ち、株価変動により損失が拡大するリスクがあります。
シータは中央付近で正の値を持ち、時間経過により利益が増加します。ただし、端に近づくと負になる場合があります。
ベガは通常負の値で、ボラティリティ上昇により損失が発生します。
同時執行が理想的ですが、流動性の制約により困難な場合があります。レッグ・リスク(各オプションの価格変動リスク)を最小化するため、可能な限り同時執行を心がけます。
段階的執行では、まず流動性の高いATMオプションから執行し、その後OTMオプションを執行します。
電子取引システムの普及により、複合注文として一括執行することが可能になっています。
早期決済では、目標利益の50-75%に達した時点で決済することが一般的です。満期まで保有すると、わずかな株価変動で利益が消失するリスクがあります。
ストップロスでは、支払プレミアムの50%程度の損失で損切りする場合があります。
調整戦略では、株価が予想レンジを外れた場合、追加ポジションによる調整を行う場合があります。
複合取引として、各レッグの損益を合算して課税所得を計算します。同日決済の場合は比較的単純ですが、異なる日の決済では複雑な計算が必要になります。
ヘッジ取引として認定される場合は、特別な税務処理が適用される場合があります。
低ボラティリティ環境では、バタフライ・スプレッドの成功確率が高まります。VIX指数などのボラティリティ指標が低水準の時期が適用タイミングです。
高ボラティリティ環境では、大きな価格変動により損失が発生しやすくなります。
金利変動により、各オプションの価格が異なる影響を受けるため、戦略全体の損益に影響を与える場合があります。
コンドル・スプレッドは、バタフライ・スプレッドを発展させた戦略で、より広い利益ゾーンを持ちます。
ブロークン・ウィング・バタフライでは、権利行使価格の間隔を意図的に不等にし、方向性バイアスを持たせます。
ダブル・バタフライでは、2つのバタフライを組み合わせて、より複雑な損益構造を作ります。
バタフライ・スプレッドは、限定されたリスクで安定的な利益を狙える戦略として、様々な市場環境で活用される重要なオプション戦略です。
カラー
オプション戦略の一つで、原資産(株式、コモディティ等)の保有と同時に、その資産に対するプットオプションを買い、コールオプションを売る取引を組み合わせる戦略です。価格下落リスクを限定しつつ、プレミアムコストを抑制します。
ストラドル
同一の原資産、同一の権利行使価格、同一の満期日を持つコールオプションとプットオプションを同時に買う(ロングストラドル)または売る(ショートストラドル)オプション戦略です。主に価格の大きな変動(または不変)を予想する場合に用いられます。
プロテクティブプット
保有している原資産(株式、コモディティ等)に対して、その資産を対象とするプットオプションを買う戦略です。原資産価格の下落に対する保険(プロテクション)のような役割を果たし、損失を限定します。