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コモディティ取引用語辞典トレタム

コモディティ取引に関する専門用語を学べる総合用語集

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    Convenience Yield

    便益利回り

    先物価格構造

    便益利回りとは、商品の現物を保有することで得られる非金銭的な便益を利回りとして表現したものです。在庫切れリスクの回避、生産継続の保証、緊急需要への対応力などが含まれます。この便益が大きいほど、現物価格が先物価格を上回る傾向(バックワーデーション)が生じます。

    基本概念

    便益利回り(Convenience Yield)とは、商品の現物を保有することで得られる非金銭的な便益を、利回りという形で数値化した概念です。金融資産と異なり、商品現物には「手元にある」ことの価値があり、この価値が先物価格と現物価格の関係に大きな影響を与えます。生産の継続性確保、緊急需要への対応力、機会損失の回避など、金銭では直接測れない価値を包含しています。

    この概念は、1930年代にジョン- メイナード- ケインズが商品市場の価格形成を説明する際に導入しました。なぜ時として現物価格が先物価格を上回るのか、なぜ保管コストを払ってでも在庫を保有するのか、という疑問に答えるための理論的枠組みとして発展しました。

    主な特徴

    非金銭的価値の定量化
    生産停止リスクの回避、顧客への即納対応、品質保証など、直接的な収益以外の価値を利回りとして表現します。

    在庫水準との逆相関
    在庫が少ないほど便益利回りは高くなります。希少性が高まると、現物を持つことの価値が上昇するためです。

    商品固有の特性
    原油、金属、穀物など、商品の種類により便益利回りの大きさや変動パターンが異なります。

    バックワーデーションの説明要因
    便益利回りが金利と保管コストの合計を上回ると、現物価格が先物価格を上回るバックワーデーションが発生します。

    実務での活用

    在庫戦略の決定:便益利回りを考慮することで、最適な在庫水準を決定できます。便益利回りが高い時は在庫を維持し、低い時は削減します。

    価格予測モデル:便益利回りを組み込んだ価格モデルにより、より精度の高い先物価格予測が可能となります。

    裁定取引の評価:現物と先物の裁定取引において、便益利回りを考慮しないと、真の収益性を誤って評価する可能性があります。

    メリット- 効果

    価格形成の深い理解:なぜバックワーデーションが持続するのか、なぜ企業が「高い」現物を購入するのかを理論的に説明できます。

    リスク管理の精緻化:在庫切れリスクと在庫保有コストのトレードオフを定量的に評価できます。

    市場機会の発見:便益利回りの変動から、市場の需給逼迫度を予測し、取引機会を見出せます。

    注意点- リスク

    測定の困難性:便益利回りは直接観察できず、市場価格から逆算する必要があります。

    時間変動性:市場状況により便益利回りは大きく変動し、過去のデータが将来の予測に使えない場合があります。

    商品特性の理解:各商品の産業構造や利用形態を深く理解しないと、便益利回りを正しく解釈できません。

    関連用語との違い

    金利との違い:金利は金融資産の時間価値ですが、便益利回りは商品現物の保有価値です。

    配当利回りとの違い:株式の配当は金銭的収益ですが、便益利回りは非金銭的便益の価値です。

    リスクプレミアムとの違い:リスクプレミアムは不確実性への対価ですが、便益利回りは確実な保有便益の価値です。

    実務ポイント- 事例

    原油市場では、製油所にとって原油在庫の便益利回りは極めて重要です。原油在庫が枯渇すれば製油所は操業停止に追い込まれ、莫大な機会損失が発生します。このため、在庫が少ない時期には高い便益利回りを反映して、現物プレミアムが上昇します。2008年の原油価格急騰時には、便益利回りの急上昇がバックワーデーション構造を生み出しました。

    関連用語
    Term Structure

    期間構造

    期間構造とは、異なる満期日を持つ先物契約の価格関係を示す概念です。近月物から遠月物までの価格がどのような形状を描くかにより、市場の需給状況や将来見通しを把握できます。コンタンゴやバックワーデーションといった価格パターンの基礎となる重要な概念です。

    Forward Curve

    フォワード曲線

    フォワードカーブとは、将来の異なる受渡期日における先物価格を時系列に並べた曲線です。横軸に期日、縦軸に価格をとることで、市場の将来価格予想を視覚的に把握できます。金利、保管コスト、需給見通しなどの要因により、右上がりや右下がりの形状を示します。

    Contango

    正鞘

    コンタンゴとは、先物価格が現物価格を上回る市場状態です。通常、金利と保管コストの分だけ先物が高くなるため、多くの商品市場で観察される正常な状態です。在庫が潤沢で、将来の供給不安がない時に発生しやすく、キャリートレードの機会を提供します。

    Backwardation

    逆鞘

    バックワーデーションとは、現物価格が先物価格を上回る逆転現象です。現物の需給が逼迫し、即座に商品を手に入れることに高い価値がある時に発生します。在庫不足、供給障害、緊急需要などが原因となり、商品市場特有の重要な価格シグナルとなります。

    Front Month

    近月

    近月物とは、最も期日が近い先物契約のことです。通常、最も取引量が多く流動性が高いため、現物市場の需給を最もよく反映します。実需筋の取引が集中し、価格発見機能の中心となる重要な限月で、ロールオーバーのタイミング判断にも不可欠です。

    Back Month

    遠月

    遠月物とは、受渡期日が遠い将来の先物契約です。近月物に比べて取引量は少ないものの、中長期的な需給見通しや市場期待を反映します。ヘッジ取引や長期ポジション構築に利用され、期間構造分析において重要な情報を提供します。

    Nearby Contract

    近接契約

    近接契約とは、現在取引されている中で最も期日が近い、または2番目に近い先物契約を指します。高い流動性と狭いスプレッドが特徴で、短期的な価格変動を捉える取引に適しています。実需家のヘッジ取引が集中する限月でもあります。

    Normal Contango

    正常なコンタンゴ

    正常なコンタンゴとは、金利と保管コストを反映した理論通りの順鞘状態です。先物価格が満期までの持越費用分だけ現物価格を上回り、安定した右上がりのカーブを描きます。在庫が適正水準にあり、市場に大きな不安要因がない健全な状態を示します。