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人類が最初に利用した金属の一つで、優れた電気伝導性と熱伝導性を持つ赤褐色のベースメタルです。電線・電子機器から建築・配管まで幅広く使用され、世界経済の先行指標「ドクター・カッパー」として注目される最重要産業金属です。
銅(Copper)は、原子番号29、元素記号Cuで表される遷移金属元素です。ラテン語の「Cuprum(キプロス島の銅)」に由来し、英語名のCopperも同じ語源を持ちます。人類が最初に利用した金属の一つで、紀元前8000年頃から使用されており、青銅器時代の主役として文明発展に大きく貢献しました。
特徴的な赤褐色の金属光沢を持ち、空気中で酸化すると緑青(ろくしょう)と呼ばれる緑色の錆を生成します。この緑青は表面に保護膜を形成し、内部の腐食を防ぐ役割を果たします。
主要な特性:
銅の最大の特徴は、銀に次ぐ優れた電気伝導性と熱伝導性です。また、展性- 延性に富み、加工が容易であることから、様々な形状に成形できます。さらに、抗菌性があることも近年注目されています。
電気- 電子産業(需要の約40%)
建設産業(需要の約30%)
輸送機器(需要の約15%)
その他産業(需要の約15%)
主要生産国(2023年データ):
世界の銅鉱山生産量は年間約2,200万トン、精錬銅生産量は約2,500万トンです。中国は鉱山生産では3位ですが、精錬銅生産では世界の約40%を占める最大生産国であり、同時に世界需要の約50%を消費する最大消費国でもあります。
鉱石と精錬:
主要鉱石は黄銅鉱(CuFeS₂)、斑銅鉱(Cu₅FeS₄)、輝銅鉱(Cu₂S)などです。鉱石中の銅品位は通常0.5-2%程度で、選鉱により20-30%の精鉱に濃縮され、製錬所で電解精錬により純度99.99%以上の電気銅が生産されます。
銅はロンドン金属取引所(LME)、上海期貨交易所(SHFE)、COMEX(CME Group)で活発に取引されています。LME銅価格が国際指標価格として広く使用されています。
価格変動要因:
銅価格は世界経済の先行指標として「ドクター- カッパー(Doctor Copper)」の異名を持ちます。これは、銅が幅広い産業で使用されるため、その需要が経済活動全体を反映するためです。
銅は100%リサイクル可能な金属で、品質を損なうことなく何度でも再利用できます。現在、世界の銅供給の約30%がリサイクル銅(スクラップ)から賄われています。
リサイクルの重要性:
銅需要は今後も堅調な成長が予想されています:
成長要因:
一方、供給面では高品位鉱石の枯渇、環境規制強化、水資源不足などの課題があり、中長期的には需給がタイトになる可能性が指摘されています。このため、リサイクルの重要性がさらに高まると予想されています。
非鉄金属
鉄や鉄合金以外のすべての金属を指す総称です。銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、ニッケル、錫といったベースメタルや、金、銀などの貴金属が含まれます。工業製品から日用品まで、私たちの生活に不可欠な材料となっています。
チタン
原子番号22の元素(Ti)で、遷移金属の一つです。軽量(鉄の約60%)でありながら強度が高く、特に耐食性(特に海水に対する)に極めて優れています。航空宇宙、化学プラント、医療、スポーツ用品などに利用されます。
亜鉛
鉄鋼の防錆めっき(亜鉛めっき)の主原料として重要なベースメタルです。建設・自動車産業で大量に消費され、黄銅などの合金材料、電池材料、化学工業原料としても幅広く使用されます。人体必須微量元素でもあります。
モリブデン
特殊鋼や超合金の添加元素として重要なレアメタルです。高温強度と耐食性を大幅に向上させる効果があり、ステンレス鋼、工具鋼、石油精製触媒などに使用されます。銅の副産物として生産され、チリと中国が主要生産国です。
ベースメタル(卑金属)
ベースメタル(Base Metals)は、貴金属以外の産業用金属の総称で、銅・アルミ・亜鉛などが代表例です。世界の製造業や建設業を支える基礎材料として大量に消費されています。景気動向を反映しやすく、経済の先行指標としても注目される金属群です。
コバルト
リチウムイオン電池の正極材として急速に需要が拡大している戦略的レアメタルです。コンゴ民主共和国に生産が集中し、供給リスクが高い一方、EVバッテリーの性能向上に不可欠で、超合金や触媒としても重要な役割を果たします。
鉛
古代から利用される重金属で、現在は主に鉛蓄電池(自動車バッテリー)の原料として使用されるベースメタルです。優れた遮蔽性、耐食性、加工性を持ちますが、毒性があるため取り扱いには注意が必要で、リサイクル率が最も高い金属の一つです。
リチウム
最も軽い金属元素で、リチウムイオン電池の主要材料として電気自動車(EV)革命の中核を担う戦略的金属です。主に塩湖かん水と鉱石から生産され、需要が急速に拡大している一方、供給開発には時間がかかるため、価格変動が激しい特徴があります。