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エタノールは、糖質やデンプンを発酵させて製造するアルコールで、バイオ燃料と工業用溶剤の両面で重要な商品です。サトウキビ、トウモロコシが主原料で、ガソリン混合により輸送燃料として使用されます。ブラジル、米国が二大生産国で、脱炭素化政策により需要が拡大し、エネルギー市場と農産物市場を結ぶ重要な役割を果たしています。
エタノール(Ethanol、エチルアルコール)は、化学式C2H5OHで表される最も単純なアルコールの一つで、バイオ燃料、工業用溶剤、飲料、医薬品など多用途に使用されます。バイオエタノールは、サトウキビ、トウモロコシ、小麦などのバイオマスを原料とし、発酵により生産される再生可能燃料です。オクタン価向上剤として ガソリンに混合され、E10(10%混合)、E85(85%混合)、E100(純エタノール)として使用されます。
エタノール生産は原料により異なります。サトウキビ由来(ブラジル)は、搾汁を直接発酵させる最も効率的な方法です。トウモロコシ由来(米国)は、デンプンを糖化後に発酵させます。生産工程は、原料処理、糖化(デンプン質の場合)、発酵(酵母によるアルコール変換)、蒸留(濃度96%まで)、脱水(無水エタノール製造)から成ります。副産物として、DDGS(家畜飼料)、バガス(燃料)、CO2(炭酸ガス)が得られ、統合的に利用されます。
世界のエタノール生産量は年間約1,100億リットルで、米国(55%)とブラジル(30%)が二大生産国です。価格は、原料価格(トウモロコシ、砂糖)、原油価格、政策(混合義務、補助金)、為替に影響されます。ブラジルでは砂糖との生産配分が価格に影響し、米国ではRIN(再生可能識別番号)価格が重要です。シカゴ商品取引所のエタノール先物が、価格発見機能を果たしています。
バイオエタノールは、温室効果ガス削減に貢献します。サトウキビ由来エタノールは、ガソリン比でCO2を最大90%削減、トウモロコシ由来でも20-40%削減可能です。各国は混合義務化により普及を促進しています。米国のRFS(再生可能燃料基準)、ブラジルのRenovaBio、EUのRED II(再生可能エネルギー指令)が主要政策です。しかし、食料競合、土地利用変化、水資源消費などの課題も指摘されています。
エタノール産業は技術革新が進んでいます。第二世代エタノール(セルロース系)は、農業残渣、木質バイオマスを原料とし、食料競合を回避します。第三世代(藻類由来)は、高い生産性が期待されます。用途拡大として、持続可能航空燃料(SAF)への転換、エチレン原料としての化学品生産が注目されています。電気自動車普及により燃料需要は長期的に減少見込みですが、化学原料、水素キャリアとしての需要が期待されています。カーボンニュートラル達成に向け、CCUSとの組み合わせによるカーボンネガティブ- エタノール生産も研究されています。
["エチルアルコール","バイオエタノール"]
砂糖
砂糖は、サトウキビやテンサイから抽出される糖類の総称で、世界で最も重要な甘味料です。粗糖、精製糖、黒糖など多様な形態があり、食品産業の基礎原料として年間約1.8億トンが生産されます。ブラジル、インド、タイが主要生産国で、価格は天候、エネルギー市場、政策に大きく影響されます。
畜産物(家畜)
農業において、肉、乳、卵、皮革などを得るために飼育される動物(家畜)の総称です。牛、豚、鶏、羊などが含まれ、これら自体やその生産物がソフトコモディティとして取引されます。
粗糖(原料糖)
粗糖は、サトウキビやテンサイから抽出した糖液を結晶化させた未精製の砂糖です。褐色で糖蜜を含み、ICUMSA値600-1200の品質で取引されます。国際砂糖取引の主要形態で、ICE砂糖11号先物が価格指標となります。精製工場で白糖に加工される中間原料として、世界で年間約6,000万トンが貿易されています。
精製糖(白糖)
精製糖(白糖)は、粗糖を精製して不純物を除去した純度99.9%以上の砂糖です。ICUMSA 45以下の白色度を持ち、家庭用、食品工業用として広く使用されます。グラニュー糖、上白糖、氷砂糖など多様な形態があり、用途に応じて粒度や結晶形が調整されます。品質の均一性と保存性の高さから、食品産業の基礎原料となっています。