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オプションの買い手がその権利を実行し、原商品の売付または買付を成立させること。
権利行使(Exercise)とは、オプションの買い手がその権利を実行し、原商品の売付または買付を成立させることです。コール・オプションの場合は原資産を権利行使価格で買う権利を、プット・オプションの場合は権利行使価格で売る権利を実行することを意味します。権利行使は買い手の任意であり、利益が見込める場合にのみ実行されます。権利行使により、オプション契約は終了し、現物取引または現金決済が行われます。
権利行使の概念は、古代から存在していました。古代ギリシャでは、オリーブオイルの圧搾機を一定期間後に借りる権利が取引されており、これが現代のオプション取引の原型とされています。
近代的な権利行使システムは、1973年のシカゴ・オプション取引所(CBOE)設立とともに確立されました。標準化された契約と清算システムにより、権利行使の手続きが効率化され、大規模な取引が可能になりました。
日本では1989年の大阪証券取引所での株価指数オプション上場により、本格的な権利行使システムが導入されました。
アメリカン・タイプでは、権利行使期間中いつでも権利行使が可能です。柔軟性が高い反面、オプション価格は高くなります。株式オプションの多くがこのタイプです。
ヨーロピアン・タイプでは、満期日のみ権利行使が可能です。制約がある分、オプション価格は安くなります。株価指数オプションの多くがこのタイプです。
バミューダン・タイプでは、特定の日(月次、四半期など)のみ権利行使が可能です。アメリカンとヨーロピアンの中間的な特徴を持ちます。
内在価値の存在が権利行使の基本条件です。コール・オプションでは現在価格が権利行使価格を上回る場合、プット・オプションでは現在価格が権利行使価格を下回る場合に内在価値が発生します。
時間価値との比較も重要です。アメリカン・タイプでも、残存時間価値が大きい場合は権利行使せずに売却する方が有利な場合があります。
配当や金利も判断要因となります。株式の配当落ち直前や金利変動時には、早期権利行使が有利になる場合があります。
権利行使通知では、買い手が証券会社を通じて取引所に権利行使の意思を通知します。通常は取引最終日の特定時刻までに通知する必要があります。
自動権利行使では、満期時に一定額以上の内在価値がある場合、自動的に権利行使される仕組みがあります。これにより、権利行使忘れによる損失を防げます。
割当てでは、権利行使が通知されると、売り手(ライター)に対して履行義務が割り当てられます。複数の売り手がいる場合は、通常はランダムに選択されます。
現物受渡しでは、実際に原資産の売買が行われます。株式オプションでは株券の授受、商品オプションでは現物商品の受渡しが行われます。
現金決済では、原資産の授受は行わず、権利行使価格と決済価格の差額のみが決済されます。株価指数オプションや通貨オプションで多く採用されています。
配当の影響では、株式オプションにおいて配当落ち日前に権利行使することで、配当を受け取ることができます。配当額が時間価値を上回る場合、早期権利行使が有利になります。
金利の影響では、深いITMのコール・オプションの場合、早期権利行使により資金調達コストを削減できる場合があります。
ボラティリティの影響では、ボラティリティが低下した場合、時間価値も減少するため、早期権利行使の魅力が高まります。
権利行使により生じた損益は、通常は譲渡所得として課税されます。権利行使時の課税では、権利行使価格と市場価格の差が所得として認識されます。
源泉徴収では、金融機関が支払時に税金を徴収する場合があります。損益通算では、他の金融商品取引との損益通算が可能な場合があります。
ヘッジ効果の実現では、権利行使により保険効果が実現されます。プット・オプションによる下落リスクヘッジでは、権利行使により損失が限定されます。
ポートフォリオ調整では、権利行使により株式の保有量を調整することができます。カバード・コール戦略では、権利行使により株式を売却し、利益を確定します。
権利行使価格
オプションの権利を行使する際に、原資産を売買する基準となる価格のことです。「エクササイズプライス」とも呼ばれます。オプション契約を定義する上で基本的な要素の一つです。
オプション売り手
オプション契約の「売り手」のことです。オプションプレミアムを受け取る代わりに、買い手が権利行使した場合に、原資産を売買する「義務」を負います。「オプションセラー」とも呼ばれます。
イン・ザ・マネー
In the Money(イン・ザ・マネー)は、オプションの権利行使価格が原資産の価格に対して有利な状態を指します。コールは市場価格が高い場合、プットは市場価格が低い場合が該当します。
オプション保有者
オプション契約の「買い手」のことです。オプションプレミアムを支払うことで、原資産を特定の価格で売買する「権利」を取得しますが、権利を行使する「義務」はありません。損失は支払ったプレミアムに限定されます。
プレミアム
基準となる価値や価格に対する「上乗せ価格」や「割増金」を指します。オプション取引における権利料(価格)や、保険契約における保険料、債券価格の額面超過分などを指すことが多いです。
原資産
オプション取引の対象となる資産のことです。株式、株価指数、通貨、金利、コモディティ(商品)など、様々なものが原資産となり得ます。オプションが「何の権利」であるかを定義します。