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オプションの買い手が権利行使をするときの原商品の価格として、オプション契約であらかじめ定めた価格。ストライクプライスとも呼ばれる。
権利行使価格(Exercise Price)とは、オプションの買い手が権利行使をするときの原商品の価格として、オプション契約であらかじめ定めた価格です。ストライクプライス(Strike Price)とも呼ばれ、オプション契約の最も基本的な要素の一つです。コール・オプションでは買う権利の価格、プット・オプションでは売る権利の価格を意味し、この価格と市場価格の関係によりオプションの内在価値が決まります。権利行使価格の設定は、オプションの価格、リスク特性、投資戦略に大きな影響を与えます。
権利行使価格の概念は、古代ギリシャの哲学者タレスが行ったとされるオリーブ圧搾機の権利取引にまで遡ります。近代的なオプション取引では、1973年のシカゴ・オプション取引所(CBOE)設立とともに、標準化された権利行使価格の体系が確立されました。
当初は限られた権利行使価格のみが設定されていましたが、市場の発展とともに、より細かい価格刻みや幅広い価格レンジでの設定が行われるようになりました。現在では、投資家の多様なニーズに応えるため、非常に多くの権利行使価格が同時に上場されています。
標準的な価格刻みでは、原資産の価格水準に応じて一定間隔で権利行使価格が設定されます。株価が100円未満では5円刻み、100円以上500円未満では10円刻み、500円以上では25円刻みなどの基準があります。
ATM中心の設定では、現在の市場価格(アット・ザ・マネー)を中心として、上下に複数の権利行使価格が設定されます。通常は5-10本程度の権利行使価格が同時に取引可能です。
追加上場では、市場価格が大きく変動した場合、新しい権利行使価格が追加上場されます。これにより、常にATM付近での取引が可能になります。
**イン・ザ・マネー(ITM)**では、コール・オプションの場合は市場価格が権利行使価格を上回る状態、プット・オプションの場合は市場価格が権利行使価格を下回る状態を指します。内在価値が存在します。
**アット・ザ・マネー(ATM)**では、市場価格と権利行使価格が等しい状態です。内在価値はゼロですが、時間価値が最大となります。
**アウト・オブ・ザ・マネー(OTM)**では、ITMの逆の状態で、内在価値はゼロです。時間価値のみで構成されるため、価格は安くなります。
内在価値の計算では、コール・オプションは「市場価格-権利行使価格」、プット・オプションは「権利行使価格-市場価格」で算出されます。ただし、マイナスの場合は内在価値はゼロとなります。
価格感応度では、権利行使価格が市場価格から離れるほど、デルタ(価格感応度)が小さくなります。深いITMではデルタが1に近づき、深いOTMではゼロに近づきます。
ヘッジ戦略では、保護したい価格水準に応じて権利行使価格を選択します。完全なヘッジを求める場合はATM、コストを重視する場合はOTMを選択することが多くあります。
投機戦略では、予想する価格変動幅と投資期間に応じて権利行使価格を選択します。大きな価格変動を予想する場合はOTM、確実性を重視する場合はITMを選択します。
インカム戦略では、カバード・コール戦略において、目標売却価格に相当する権利行使価格を設定します。
株式分割・株式併合により、権利行使価格と契約単位が調整されます。2:1の株式分割の場合、権利行使価格は半分に、契約単位は2倍になります。
配当修正では、特別配当が支払われた場合、権利行使価格が配当額分だけ調整される場合があります。
企業再編では、合併、買収、スピンオフなどにより、権利行使価格や受渡し対象が調整されます。
ATM付近の高流動性では、市場価格に近い権利行使価格ほど取引量が多く、ビッド・オファー・スプレッドも狭くなります。
深いITM・OTMの低流動性では、市場価格から大きく離れた権利行使価格は取引量が少なく、価格発見が困難な場合があります。
スプレッド戦略では、異なる権利行使価格のオプションを組み合わせて、リスク・リターン特性を調整します。ブル・スプレッド、ベア・スプレッド、バタフライ・スプレッドなどがあります。
ストラドル・ストラングルでは、同じ権利行使価格(ストラドル)または異なる権利行使価格(ストラングル)のコールとプットを組み合わせて、方向性に関係なく大きな価格変動から利益を得ようとします。
ガンマ・リスクでは、ATM付近の権利行使価格でガンマが最大となるため、原資産価格の変動に対してデルタが大きく変化します。
ピン・リスクでは、満期時に市場価格が権利行使価格に近い場合、権利行使されるかどうかの不確実性が生じます。
アサイメント・リスクでは、深いITMのオプションを売建てしている場合、早期権利行使により予期しない現物ポジションを持つリスクがあります。
権利行使価格
オプションの権利を行使する際に、原資産を売買する基準となる価格のことです。「エクササイズプライス」とも呼ばれます。オプション契約を定義する上で基本的な要素の一つです。
オプション売り手
オプション契約の「売り手」のことです。オプションプレミアムを受け取る代わりに、買い手が権利行使した場合に、原資産を売買する「義務」を負います。「オプションセラー」とも呼ばれます。
イン・ザ・マネー
In the Money(イン・ザ・マネー)は、オプションの権利行使価格が原資産の価格に対して有利な状態を指します。コールは市場価格が高い場合、プットは市場価格が低い場合が該当します。
オプション保有者
オプション契約の「買い手」のことです。オプションプレミアムを支払うことで、原資産を特定の価格で売買する「権利」を取得しますが、権利を行使する「義務」はありません。損失は支払ったプレミアムに限定されます。
プレミアム
基準となる価値や価格に対する「上乗せ価格」や「割増金」を指します。オプション取引における権利料(価格)や、保険契約における保険料、債券価格の額面超過分などを指すことが多いです。
原資産
オプション取引の対象となる資産のことです。株式、株価指数、通貨、金利、コモディティ(商品)など、様々なものが原資産となり得ます。オプションが「何の権利」であるかを定義します。