Neodymium

概要

ネオジム（Neodymium）は、原子番号60、元素記号Ndで表されるランタノイド（希土類元素、レアアース）に属する金属元素です。銀白色の金属で、ランタノイドの中では比較的反応性が高く、空気中で酸化されやすいです。

主な用途

ネオジムの最も重要かつ最大の用途は、ネオジム磁石の主成分としての利用です。

• ネオジム磁石 (Nd-Fe-B Magnet): ネオジム、鉄（Fe）、ホウ素（B）を主成分とする焼結磁石であり、現在実用化されている永久磁石の中で最も強力な磁力を持っています。小型で強力な磁場を作り出せるため、様々な製品の小型化- 高性能化に貢献しています。
  • 応用先: ハイブリッドカー（HEV）- 電気自動車（EV）の駆動モーター、風力発電機の発電機、ハードディスクドライブ（HDD）のヘッド駆動モーター、エアコンや洗濯機の省エネモーター、スマートフォン（スピーカー、バイブレーター）、ヘッドフォン- スピーカー、医療機器（MRIなど）、その他各種センサーやアクチュエーター。

その他の用途としては、以下があります。

• レーザー材料: ネオジムを添加したYAGレーザー（Nd:YAGレーザー）は、工業用（切断、溶接、マーキング）や医療用（眼科治療など）として広く利用されています。
• ガラス着色剤- フィルター: ガラスに添加すると、特有の赤紫色（光の種類によって色が変化して見える）を呈するため、特殊なガラスや光学フィルターに利用されます。
• 触媒: 化学反応の触媒。
• その他: セラミックコンデンサ、磁性材料の研究など。

資源と市場

他の希土類元素と共に、モナザイトやバストネサイトなどの鉱石から産出されます。中国が最大の生産- 供給国ですが、ネオジム磁石の需要増大と供給リスクへの懸念から、他の国々での生産やリサイクル技術の開発が進められています。特にEVや再生可能エネルギー分野での需要拡大が、市場の大きな牽引役となっています。

ネオジムは、現代の省エネルギー技術や高性能デバイスを支える上で、戦略的に極めて重要なレアアースです。