Reorder Point

基本概念

発注点（Reorder Point、ROP）は、在庫補充のための発注を行うべき在庫水準を示す重要な管理指標です。在庫量が発注点まで減少したら、自動的または手動で発注を行い、在庫切れを防ぎます。リードタイム中の予想需要量と安全在庫の合計として計算され、定量発注方式の中核となる概念です。適切な発注点の設定により、在庫切れと過剰在庫の両方を回避できます。

発注点の計算式

基本的な発注点の計算式は以下の通りです：

発注点 = (平均需要量 × リードタイム) + 安全在庫

平均需要量：過去の実績から算出する1日あたりの平均的な需要量です。

リードタイム：発注から納品までに要する日数で、発注処理、製造、輸送時間を含みます。

安全在庫：需要変動やリードタイムの変動に対応するための予備在庫です。

より精緻な計算では、需要とリードタイムの両方の変動を考慮した統計的手法を用います。

発注点管理システムの種類

定量発注方式：在庫が発注点を下回ったら、あらかじめ決められた一定量（EOQ）を発注します。

ダブルビン方式：2つの容器を使い、1つが空になったら発注する簡易的な方法です。

Min-Max方式：最小在庫（Min）を発注点とし、最大在庫（Max）まで補充します。

カンバン方式：製造業で使用され、カンバンの枚数で発注点を管理します。

動的な発注点の調整

発注点は固定値ではなく、状況に応じて調整が必要です。季節変動がある商品では、需要期前に発注点を上げ、需要期後に下げます。プロモーション期間中は一時的に発注点を引き上げます。また、サプライヤーの信頼性が向上したらリードタイムを短縮し、発注点を下げることができます。需要予測の精度向上も、発注点の最適化に貢献します。

商品特性による設定

Aランク商品：売上貢献度が高いため、欠品を避けるよう高めの発注点を設定します。

新商品：需要が不確実なため、頻繁に見直しが必要です。

季節商品：シーズン前後で大幅に調整します。

代替可能商品：他の商品で代用できる場合は、低めの設定が可能です。

長納期商品：リードタイムが長いため、高い発注点が必要です。

システムとアラート機能

現代の在庫管理システムは、発注点管理を自動化しています。在庫がリアルタイムで監視され、発注点に達すると自動的にアラートが発信されます。さらに進んだシステムでは、EDI（Electronic Data Interchange）により、サプライヤーへ自動発注が行われます。

課題と解決策

発注点管理の主な課題は、需要の急変への対応です。突発的な大量注文や、逆に需要の急減により、発注点が機能しない場合があります。これに対しては、異常値検出システムの導入、定期的なレビュー、例外処理ルールの設定などで対応します。また、複数商品の相関を考慮した統合的な発注点管理も重要です。

まとめ

発注点は、在庫管理の自動化と最適化の要となる概念です。適切に設定- 管理された発注点により、人的判断に頼らない安定的な在庫補充が可能となります。データ分析とシステム化により精度は向上していますが、ビジネス環境の変化に応じた継続的な見直しが、効果的な運用の鍵となります。