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未決済の売買契約(ポジション)を意味する日本独自の用語です。「玉を建てる」という表現から生まれ、まだ反対売買による決済が行われていない約定を指します。買建玉(かいだてぎょく)と売建玉(うりだてぎょく)に分類され、日本の商品取引所では建玉管理が証拠金計算とリスク管理の基礎となっています。
建玉とは、未決済の売買契約を指します。英語では「Tategyoku」と表記され、まだ反対売買されていない約定として定義されます。先物取引やデリバティブ取引において、保有しているポジションを表現する重要な概念で、取引の基本単位として機能します。
建玉の概念は、日本の伝統的な商品取引市場で発展してきました。特に堂島米会所での先物取引において、未決済の契約を管理する用語として確立されました。「玉を建てる」という表現から生まれたこの用語は、現代の先物取引やデリバティブ取引においてもポジション管理の基本概念として広く使用されています。
建玉は売買契約が成立しているものの、まだ決済されていない状態を表します。この期間中は価格変動による損益が継続的に発生し、市場価格の変動が直接的に保有者の損益に影響します。建玉には買建玉(ロングポジション)と売建玉(ショートポジション)があり、それぞれが市場に対する異なる方向性を表現しています。
建玉を保有する期間中は証拠金が拘束され、取引の履行が担保される仕組みとなっています。毎日時価評価が行われて損益が計算されるため、リスクが適切に管理されます。最終的には反対売買または現物受け渡しにより決済される義務があり、この決済により建玉は消滅します。
先物取引において建玉は基本的な取引単位として機能し、投資家は建玉を保有することで価格変動による損益を追求します。オプション取引では買建玉と売建玉により異なるリスク・リターン特性を実現し、複雑な投資戦略の構築が可能になります。
外国為替証拠金取引では通貨ペアの建玉により為替変動の利益を追求し、商品CFD取引では建玉により商品価格の変動による利益を追求します。企業のリスク管理においては、現物ポジションに対するヘッジとして建玉を戦略的に活用することで、価格変動リスクを効果的に管理しています。
建玉は方向性により買建玉と売建玉に分類されます。買建玉は買い契約により成立し、価格上昇により利益、価格下落により損失が発生します。売建玉は売り契約により成立し、価格下落により利益、価格上昇により損失が発生する特徴があります。
時間的な分類では、新たに建てられた新規建玉と、前日から継続して保有している継続建玉があります。契約期間による分類では、特定の決済期日を持つ期日建玉(先物取引で一般的)と、決済期日のない無期限建玉(CFD取引で一般的)に分けられます。
効果的な建玉管理では、保有している建玉の数量、方向、期日を適切に把握し、体系的に管理することが重要です。建玉による市場リスクを適切に評価し、許容範囲内に制御するリスク管理体制の構築が不可欠となります。
証拠金管理では建玉に必要な証拠金を適切に管理し、追証を回避する必要があります。建玉による損益を日次で把握し、適切な投資判断を継続的に行うことで、投資成果の向上を図ることができます。建玉の決済タイミングを適切に判断し、利益確定や損切りを的確に実行することも重要な管理要素です。
建玉の評価は主に時価評価により行われ、毎日の市場価格で建玉を評価して含み損益を計算します。簿価評価では取得価格により建玉を評価し、実現損益のみを認識する方法もあります。公正価値評価では市場価格や理論価格により建玉を適正な価値で評価します。
建玉の決済方法には複数の選択肢があります。最も一般的な反対売買では、建玉と反対方向の売買を行い、差金決済により建玉を決済します。先物取引では現物の受け渡しにより建玉を決済する方法もあり、オプション取引では権利行使により建玉を決済することも可能です。
建玉の会計・税務上の取り扱いでは、金融商品会計基準により建玉を時価評価する場合があります。ヘッジ目的の建玉についてはヘッジ会計の適用を検討し、適切な会計処理を行う必要があります。建玉による損益の税務上の取り扱いも適切に処理し、建玉のリスク情報を適切に開示することが求められます。
建玉に関するリスク管理では、価格変動による市場リスク、流動性低下による流動性リスク、取引相手の信用リスク、操作上のリスクなど、多様なリスクを総合的に管理する必要があります。
建玉は先物取引やデリバティブ取引における基本概念として、適切な管理により投資収益の向上とリスクの制御を同時に実現する重要な仕組みです。
先物(さきもの)
将来の特定期日に特定価格で商品の売買を約束する契約取引の日本語表現です。江戸時代の堂島米会所から続く日本独自の呼び方で、「先の物」を取引することから名付けられました。現代でも日本の商品取引所では「先物取引」として広く使用され、リスクヘッジと価格発見の重要な機能を果たしています。
両建て(りょうだて)
同一商品について売建玉と買建玉を同時に保有する取引手法の日本語表現です。「両方向に建玉を立てる」という意味から名付けられ、価格変動リスクを相殺しながらポジションを維持できます。日本の商品取引では古くから使用される手法で、市場の方向感が不透明な時期のリスク管理手段として活用されています。
グリーン証書
再生可能エネルギーの環境価値を証明する取引可能な証書。グリーン電力証書、J-クレジット、非化石証書などがあり、企業のRE100達成やカーボンニュートラル実現に活用されます。日本の非化石証書市場は年間1,000億kWh規模で、企業の脱炭素化を支援しています。
ザラ場(ざらば)
取引所で通常時間に行われる連続売買取引の日本語表現です。「ザラザラと途切れなく」取引が行われることから名付けられ、寄り付きと引けの間の通常取引時間を指します。板寄せ方式とは対照的に、注文が入るたびに随時約定が行われ、リアルタイムでの価格形成が可能な取引方式です。
寄り付き(よりつき)
取引開始時に最初に成立した価格(初値)を意味する日本独自の用語です。前日の終値や市場情勢を反映して形成され、その日の相場動向を占う重要な指標となります。日本の商品取引所では板寄せ方式により決定され、「寄り」とも略称されて、市場参加者に広く注目される価格水準です。
仕切り(しきり)
商品取引における最終決済と清算を意味する日本独自の用語です。取引を「仕切る」という表現から生まれ、建玉の決済完了を指します。日本の商品取引所では仕切り値段での現物決済または差金決済により取引を完了させる重要なプロセスとして、市場参加者に広く認識されています。
電力購入契約
発電事業者と需要家が長期固定価格で電力売買する契約(PPA)。コーポレートPPAにより、企業は追加性のある再エネを確保し、発電事業者は安定収入を得られます。日本でもオンサイト/オフサイトPPAが拡大し、2030年には10GW規模の市場形成が期待されています。
諸掛(しょがかり)
商品取引に付随する諸費用全般を意味する日本独自の用語です。輸送費、保険料、関税、倉庫料、検査料など商品の原価以外にかかる全ての経費を指します。日本の商品取引では価格決定や収益計算において重要な要素として、古くから取引実務の基本概念として定着しています。