ターム契約は、明確に定められた期間(ターム)を持つ継続的取引契約です。商品取引では契約期間を限定することで、価格・条件の定期見直し機会を確保し、市場環境変化に応じた柔軟な契約管理を可能にする契約形態です。
ターム契約(Term Contract)は、明確に定められた契約期間(ターム)を持つ継続的取引契約で、期間満了時に契約が自動終了または見直し対象となる契約形態です。期間の定めのない継続契約とは異なり、一定期間ごとに契約条件の見直し、継続の可否判断、市場環境への適応を図ることができます。商品取引では、市況変動、技術革新、規制変更に対応するため、1年、3年、5年など、事業環境に応じた適切な契約期間を設定し、定期的な契約更新を通じて最適な取引条件を維持します。
ターム契約の基本構成は、契約期間の明確な設定、期間満了時の処理方法(自動終了- 自動更新- 協議更新)、期間中の条件変更条項、早期終了条項です。契約期間は、短期(1-2年)、中期(3-7年)、長期(10年以上)に分類され、商品特性、投資回収期間、市場環境変化の頻度に応じて設定されます。価格条件では、期間中固定、定期見直し、市場連動など、期間と価格安定性のバランスを考慮した方式を選択します。数量条件、品質条件、納期条件についても、期間中の変動要因を考慮した柔軟性を確保します。
エネルギー業界では、電力- ガス供給の3-5年ターム契約により、インフラ投資と市場変動のバランスを図ります。製造業では、主要原材料の調達で2-3年ターム契約により、生産計画の安定性と価格競争力を両立させます。商社では、資源調達から製品販売まで、川上- 川下で異なる期間のターム契約を組み合わせ、リスク管理とビジネス機会の確保を実現します。IT業界では、クラウドサービス、ソフトウェアライセンスの3年ターム契約により、技術革新への対応と安定利用を両立させます。
ターム契約の主要なメリットは、定期的な条件見直し機会の確保、市場環境変化への対応力、過度な長期コミットメントの回避です。供給者にとって、一定期間の安定収益確保、投資回収の予見性向上、定期的な価格- 条件の適正化機会確保が可能です。購入者にとっては、一定期間の安定供給確保、市場環境変化時の調達戦略見直し機会、新規サプライヤーとの比較検討機会の確保が実現できます。双方にとって、適度な安定性と柔軟性の両立、過度なリスク回避、事業環境の変化への適応力確保などの効果があります。
ターム契約では、契約更新時期の交渉負担、条件見直しの不確実性、競合他社との競争激化が課題となります。契約期間が短すぎる場合、頻繁な交渉による取引コスト増加、投資回収の不確実性、長期計画の困難が生じます。逆に期間が長すぎる場合、市場変化への対応遅れ、競争力低下、機会損失のリスクがあります。また、契約更新時の条件変更により、既存の事業計画、投資計画への影響も考慮する必要があります。更新拒否、条件悪化により、代替契約先の確保が困難になる場合もあります。
ターム契約は、期間の定めのある継続的供給契約として、民法の契約期間、契約更新、契約終了に関する規定が適用されます。商法では、商事契約の特例、継続的商事契約の規定が関連します。独占禁止法では、継続的取引における優越的地位の濫用、拘束条件付取引への注意が必要です。国際取引では、各国の契約期間制限、外資規制、投資保護協定の安定性条項も考慮する必要があります。労働法制では、契約期間と雇用契約期間の整合性、派遣契約期間制限への対応も重要です。
ターム契約の設計では、適切な契約期間の設定、更新条件の明確化、見直し条項の設計、早期終了条項のバランスが重要です。携帯電話業界の2年契約、クラウドサービスの3年契約、オフィス賃貸の5年契約などが身近な例です。商品取引では、石油製品の年間ターム契約、化学品の3年ターム契約、金属の5年ターム契約が一般的です。近年は、ESG要素、デジタル化対応、パンデミック対応条項を組み込んだターム契約が増加しており、不確実性の高い事業環境下での契約設計が重要課題となっています。ターム契約の成功には、定期的な関係見直し、双方の利益バランス確保、市場環境変化への迅速な対応が不可欠です。
期間契約
売買確認書
売買確認書は、取引条件を正式に確認する契約文書です。価格、数量、品質、納期、支払条件などの重要事項を記載し、両当事者の合意を文書化します。法的拘束力を持つ重要な取引書類です。
中期契約
中期契約は、通常3-7年程度の中期間を契約期間とする継続的取引契約です。商品取引では短期契約の価格変動リスクと長期契約の硬直性を回避し、適度な安定性と柔軟性を両立させた契約形態として活用されます。
契約満期月
先物やオプションなどのデリバティブ契約において、その契約が満了し、最終的な決済や権利行使が行われる月のことです。限月(Contract/Delivery Month)とほぼ同義で用いられます。
個別契約
個別契約は、標準的な契約条件ではなく、特定の取引や顧客のニーズに応じて個別に設計・交渉された契約です。商品取引では特殊な品質要求、納期条件、価格体系に対応し、標準商品では満たせない個別ニーズに柔軟に対応します。
完全合意条項
契約書に含まれる条項の一つで、その契約書に記載された内容が、契約当事者間の当該主題に関する全ての合意事項であり、契約締結以前の口頭での約束や他の文書(覚書など)に優先することを確認する規定です。
オプション契約
オプション契約は、将来の特定時点で商品を売買する権利を付与する契約で、権利行使は義務ではありません。商品取引では価格変動リスクを限定しながら上昇利益を享受できる高度なリスク管理・投資ツールとして活用されています。